内科・呼吸器科クリニックの門前薬局で働いたあと、転職して、皮膚科クリニックと整形外科クリニックの門前薬局で働くことになりました。
この薬局では、処方箋の内容としては皮膚科が多く、次いで整形外科、その他の処方が少しあるという形でした。割合でいうと、皮膚科が6割ほど、整形外科が3割半ほど、その他が少しという印象です。
前回働いていた内科・呼吸器科門前では、生活習慣病や呼吸器疾患の継続処方、吸入薬の確認などを通して、患者さんを継続して見ることの大切さを学びました。
一方で、皮膚科・整形外科門前では、外用薬や湿布、痛み止めなど、患者さんが自宅で実際に使う薬の説明が多くなりました。
特に皮膚科では、ステロイド外用薬や保湿剤、ニキビ治療薬など、使い方の説明が大切になる薬が多く、これまでとはまた違った学びがありました。
今回は、皮膚科クリニックと整形外科クリニックの門前薬局で約2年働いて感じたことを書いていきます。
皮膚科が中心で、若い患者さんも多い職場だった
この薬局では、皮膚科の処方箋が中心でした。
内科・呼吸器科門前で働いていたときと比べると、患者さんの年齢層はかなり違いました。内科や呼吸器科では、生活習慣病や慢性疾患で継続して通院している患者さんが多い印象でした。
一方で、皮膚科では若い患者さんも多く、特にニキビ治療で来局される未成年の患者さんもいました。
ニキビというと、赤く腫れているものや、黄色く膿んでいるように見えるものをイメージする人が多いかもしれません。
ただ、実際にはその前段階の状態もあります。見た目にはそこまで荒れているように見えなくても、ニキビになりかけている状態があり、そこに対して薬が出ることもあります。
そのため、患者さん本人が「今はそこまでひどくない」と感じていても、医師の判断で治療を続ける必要がある場合があります。
また、ニキビの原因は一つではありません。食事の偏り、睡眠不足、ストレス、洗顔の仕方、肌質など、さまざまな要因が関係します。
薬局でできることには限りがありますが、薬の使い方だけでなく、普段の生活やスキンケアも関係することは意識して説明していました。
未成年の患者さんの場合、保護者と一緒に来局されることもあります。ただ、実際に薬を使うのは本人です。
保護者が薬を管理して、その都度使うように声をかけている家庭もあれば、薬の管理を本人に任せている家庭もあります。
もちろん、本人がしっかり管理できていれば問題ありません。
ただ、実際には本人管理になるほど、薬を正しく継続できていないと感じる場面もありました。
ニキビ治療は、すぐに目に見えて良くなるとは限りません。途中で面倒になったり、刺激感や乾燥が気になって自己判断でやめてしまったりすることもあります。
そのため、未成年の患者さんに説明するときは、保護者だけでなく、実際に薬を使う本人にも、できるだけわかりやすく伝えることが大切だと感じました。
外用薬は、飲み薬とは違う説明の難しさがあった
皮膚科門前で働いていて、一番学びが大きかったのは外用薬の説明です。
塗り薬は、飲み薬と比べると簡単に見えるかもしれません。
しかし実際には、塗り薬の説明はかなり難しいと感じました。
飲み薬であれば、「1日何回、いつ飲むか」が比較的はっきりしています。もちろん飲み薬にも注意点はありますが、用法が数字で示されていることが多いです。
一方で、外用薬は患者さんによって使い方に差が出やすい薬です。
同じ「薄く塗ってください」と伝えても、人によって塗る量の感覚は違います。
「症状があるところに塗ってください」と伝えても、どこまでを症状がある場所と考えるかは人によって違います。
「よくなってきたらどうすればいいか」という判断も、患者さんだけでは迷いやすい部分です。
外用薬では、薬を渡すだけでなく、どこに塗るのか、どのくらい塗るのか、いつ塗るのか、どのくらい続けるのかを理解してもらう必要があります。
薬局で説明したつもりでも、患者さんが自宅で実際に使う段階になると、使い方がずれてしまうこともあります。
この経験から、外用薬は薬そのものの知識だけでなく、患者さんが自宅で使う場面まで考えて説明する必要があると感じました。
ステロイド外用薬では、患者さんの不安に向き合う場面が多かった
皮膚科門前で多く触れた薬の一つが、ステロイド外用薬です。
ステロイド外用薬では、患者さんが不安を持っていることも多くありました。
よく聞かれたのは、
「いつまで使えばいいですか」
「よくなってきたら、やめてもいいですか」
「残った薬を、また同じような症状が出たときに使ってもいいですか」
といった質問です。
「途中でやめてもいいのか」「よくなったらやめてもいいのか」などの質問は、言い方は違っても、患者さんが聞きたいことは近いと思います。
要するに、必要以上に長く使いたくない。
できれば、必要な期間だけ使いたい。
そういう不安から出てくる質問だと感じていました。
ステロイド外用薬には注意点があります。そのため、何も考えずに長く使い続けてよい薬ではありません。
ただ一方で、不安が強すぎて必要な量を使えなかったり、早くやめすぎたりすると、十分な効果が出ないこともあります。
基本的には、医師から使用期間や使用部位の指示がある場合は、その指示に沿って使うことが前提です。
使用期間について明確な指示がない場合は、自己判断で長く使い続けず、まずは一定期間きちんと使い、症状の変化を見てもらうように説明していました。実際の対応では、症状や処方内容にもよりますが、1週間程度を一つの目安として伝えることもありました。
また、残ったステロイド外用薬を、後日同じような症状に使ってよいか聞かれることもありました。
患者さんから見ると同じような赤みやかゆみに見えても、実際に同じ病気かどうかは判断できません。湿疹のように見えても、感染症など別の原因が関係している可能性もあります。
そのため、基本的には自己判断で残薬を使わず、症状が出た場合は医療機関で診てもらうように説明していました。
このような対応を通して、ステロイド外用薬は、薬そのものの知識だけでなく、患者さんの不安にどう答えるかも大切な薬だと感じました。
保湿剤やニキビ治療薬は、継続して使える説明が大切だった
皮膚科門前で働いたことで、ステロイド外用薬だけでなく、保湿剤についての知識もかなり増えたと感じています。
保湿剤は、ただ「乾燥に使う薬」というだけではありません。
皮膚の状態を整えるために、継続して使うことが大切な場合もあります。
症状が強いところに使う薬と、広く保湿する薬では目的が違うこともあります。
患者さんによっては、ベタつきや使用感が気になって、十分に使えていないこともあります。
また、皮膚科ではステロイド外用薬と保湿剤が一緒に出ることもあります。
その場合、それぞれの薬が何のために出ているのかを理解してもらうことが大切です。
炎症を抑えるための薬なのか。
乾燥を防ぐための薬なのか。
症状があるところに使う薬なのか。
広い範囲に使う薬なのか。
このあたりが曖昧なままだと、患者さんが自宅で使うときに迷いやすくなります。
ニキビ治療薬でも、継続して使えるように説明することが大切でした。
すぐに変化が見えないと、患者さん自身が「効いていない」と感じてしまうことがあります。刺激感や乾燥が気になって、自己判断でやめてしまうこともあります。
だからこそ、薬の使い方だけでなく、続ける意味や、気になる症状が出たときにどうするかを伝えることが大切だと感じました。
皮膚科門前で働く前から、ステロイドや保湿剤の知識が全くなかったわけではありません。
しかし、実際に多くの処方に触れ、患者さんに説明する中で、外用薬は知識だけでなく、使い方まで伝えないと意味がないと強く感じるようになりました。
軟膏やクリームの混合が多い日は、処方箋枚数以上に忙しかった
この職場は、日によって忙しさの差が大きい薬局でした。
前回働いていた内科・呼吸器科門前では、1日あたりの処方箋枚数はおおよそ75枚ほどで、薬剤師2人、事務2人で対応していました。
一方で、皮膚科・整形外科門前では、日によって処方箋枚数にかなり変動がありました。
少ない日で90枚ほど、多い日で150枚ほどになることもあり、特に多い日は180枚ほどになることもありました。
体制としては、薬剤師4人、事務2人でした。
単純に人数だけを見ると、前回の職場より余裕がありそうに見えるかもしれません。
しかし、実際にはそう単純ではありませんでした。
皮膚科では、軟膏やクリームの混合が多い日があります。
この薬局には軟膏練り機があったため、混合そのものは機械が行ってくれる部分もありました。それでも、錠剤をそろえる調剤と比べると、どうしても時間がかかります。
薬を量る。
混合できる状態に準備する。
容器に詰める。
機械にかける。
出来上がりを確認する。
このような工程があります。
さらに、機械は1台しかなかったため、複数の混合が重なると順番待ちになります。
混合する薬も、すべてが容器からすぐに取り出しやすい状態とは限りません。チューブから絞り出さなければならない薬もあります。
その場合、実際に混ぜる前の準備だけでもかなり時間がかかります。
特に冬の乾燥する時期は、保湿剤や外用薬の処方が多くなりやすく、軟膏やクリームの混合も増えがちでした。そのため、冬場は忙しい日が多かった印象があります。
この経験を通して、薬局の忙しさは処方箋枚数だけでは判断できないと改めて感じました。
枚数がそこまで多くない日でも、混合が多ければ時間がかかります。
逆に枚数が多くても、内容によっては比較的スムーズに進むこともあります。
皮膚科門前では、処方箋の枚数だけでなく、外用薬の内容や混合の有無によって、現場の負担が大きく変わると感じました。
整形外科では、痛み止めや湿布だけでなく幅広い処方に触れた
この薬局では、整形外科の処方箋も多く受けていました。
整形外科というと、湿布、痛み止め、胃薬、筋肉の緊張を和らげる薬、骨粗しょう症の薬などをイメージしやすいと思います。
実際に、そういった処方は多くありました。
湿布では、貼る枚数や貼る場所、かぶれの有無を確認することがあります。
痛み止めでは、胃の不快感や眠気、他の薬との重なりなどを確認することがあります。
骨粗しょう症の薬では、薬によって飲み方に注意が必要なものもあります。
整形外科の薬も、ただ薬を渡すだけではなく、日常生活の中でどう使うかを考える必要がありました。
また、その整形外科の先生は、比較的幅広く診てくれるタイプの先生でした。
そのため、整形外科の処方だけでなく、血圧の薬や糖尿病の薬が出ている患者さんもいました。
内科専門の門前薬局ほど生活習慣病の処方が中心だったわけではありませんが、整形外科門前だからといって、湿布や痛み止めだけを見ていればよいわけではありませんでした。
この点でも、処方内容を決めつけずに確認することの大切さを感じました。
皮膚科・整形外科門前で学んだこと
前回働いていた内科・呼吸器科門前では、医療機関との距離がかなり近いと感じる場面がありました。
一方で、皮膚科・整形外科門前では、そこまで医療機関との距離が近かったわけではありません。勉強会も、病院との合同ではなく、薬局単体で行うことが多かったです。
ただ、まったく連携がなかったわけではなく、簡単な取り決めはそれぞれの医療機関と行っていました。
門前薬局といっても、医療機関との距離感や薬局の動き方は職場によってかなり違うと感じました。
この職場で約2年働いて、特に感じたのは、薬は患者さんの生活の中で使われるものだということです。
塗り薬は、自宅で患者さん自身が塗ります。
湿布も、自宅で患者さん自身が貼ります。
痛み止めも、痛みの程度や生活の中での困りごとと関わってきます。
薬局で説明した内容が、患者さんの自宅での使い方につながらなければ、十分な説明とは言えません。
特に外用薬は、患者さんによって使い方に差が出やすい薬です。
「塗ってください」と言うだけでは足りない。
「どこに、どのくらい、いつ、どのように使うのか」まで伝える必要がある。
このことを、皮膚科門前で多くの処方に触れる中で学びました。
また、若い患者さんや未成年の患者さんに説明する場面では、専門用語を使いすぎず、本人にも伝わる言葉で説明することも大切だと感じました。
薬剤師として、薬の知識を持っていることはもちろん大切です。
ただ、それだけではなく、その知識を患者さんが実際に使える形で伝えることが必要です。
皮膚科・整形外科門前での2年間は、そのことを実感する期間でした。
この薬局で約2年間働いたあと、同じ会社内での異動により、現在の耳鼻科門前薬局へ移ることになりました。
耳鼻科門前では、小児の薬、抗アレルギー薬、点鼻薬、抗菌薬など、皮膚科・整形外科とはまた違った学びがありました。
その耳鼻科門前で働いて感じたことについては、次の記事で書いていきたいと思います。
まとめ
皮膚科・整形外科クリニック門前薬局での2年間は、外用薬の説明について深く学ぶ期間でした。
特に皮膚科では、ステロイド外用薬、保湿剤、ニキビ治療薬など、使い方の説明が重要になる薬が多くありました。
ニキビ治療では、未成年の患者さんも多く、本人が薬を継続して使えるように説明することの大切さを感じました。
ステロイド外用薬では、薬への不安から、必要な期間だけ使いたいと考える患者さんも多くいました。そうした不安に対して、医師の指示を前提にしながら、自己判断で早くやめすぎないことや、残った薬を安易に使わないことを説明する必要がありました。
整形外科では、湿布や痛み止めだけでなく、骨粗しょう症の薬や生活習慣病の薬にも触れる機会がありました。
また、皮膚科では軟膏やクリームの混合が多く、処方箋枚数だけでは忙しさを判断できないことも実感しました。
患者さんが自宅で実際に薬を使えるように、わかりやすく具体的に説明すること。
薬の使い方を、患者さんの生活に落とし込んで考えること。
これが、皮膚科・整形外科門前で働いて一番大きく学んだことだったと思います。
関連記事:次の記事では、「耳鼻科門前薬局で働いて感じたこと」について書いています。
関連記事:塗り薬の順番については、「塗り薬の塗る順番はどうする?」でまとめています。
関連記事:これまでの転職で職場選びに何を考えたかは、「薬剤師の転職で職場選びに考えたこと」でまとめています。

