薬剤師として働いていると、転職を考える場面は人によって違います。
年収を上げたい。
通勤時間を短くしたい。
人間関係を変えたい。
調剤経験を積みたい。
管理薬剤師として働きたい。
もう少し無理なく続けられる職場を選びたい。
私自身も、これまで薬剤師として働く中で、何度か職場を変えてきました。
振り返ってみると、転職のたびに重視していたことは同じではありませんでした。
最初の転職では、とにかく調剤経験を積めることを大事にしていました。
その後は、通勤時間や会社の規模、異動によって経験できる環境、管理薬剤師としての経験、年収、拘束時間、昇給、長く働けるかどうかまで考えるようになりました。
この記事では、私自身の転職経験をもとに、薬剤師が職場を選ぶ時に何を考えたのか、紹介会社をどう使ったのかを振り返ってみます。
転職をすすめる記事ではありません。
あくまで、実際に何度か職場を変えてきた薬剤師の一例として読んでもらえればと思います。
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最初の転職では、調剤経験を積めることを重視した
最初の転職は、ドラッグストアから調剤薬局への転職でした。
当時の自分が一番重視していたのは、調剤経験を積めるかどうかです。
調剤薬局を中心に探していましたが、調剤業務にしっかり関われるのであれば、調剤併設のドラッグストアでもよいと考えていました。
新卒で入ったドラッグストアでは、接客や販売の経験は積めました。
ただ、薬剤師として働いていくうえで、調剤の経験がないことには不安もありました。
そのため、次の職場では、まず調剤薬局の基本を学びたいという気持ちが強かったです。
一方で、今振り返ると、職場を細かく比較して選ぶというより、まずは今の環境を変えたい気持ちも大きかったと思います。勤務面で負担を感じることが多く、体調面でもこの働き方を続けることに不安がありました。
このまま同じ環境で働き続けるのは難しいかもしれないと感じていたことも、転職を考える大きなきっかけでした。
この時は紹介会社を利用しました。
ただ、複数の紹介会社を比較したわけではありません。
ネットで調べて出てきた紹介会社に登録し、紹介された求人の中から面接を受け、その中で転職先を選びました。
結果として、調剤経験を積むきっかけにはなりました。
そこは大きかったと思います。
ただ、あとから考えると、勤務時間、残業、教育体制、薬剤師の人数、職場の雰囲気など、もう少し細かく見ておいてもよかったと感じています。
最初の転職では、調剤経験を積むことが一番の目的でした。
しかし、転職先を選ぶ基準はまだかなり粗かったと思います。
2回目の転職では、通勤時間と経験の広がりを考えた
2回目の転職は、調剤薬局から大手の調剤併設ドラッグストアへの転職でした。
この時に大きかったのは、通勤時間と会社の規模です。
前の職場は、通勤が片道1時間15分ほどありました。
毎日のこととして考えると、通勤にあまり時間をかけたくないという気持ちがありました。
もう一つ考えたのが、異動できる環境です。
前の職場は規模が小さく、店舗異動という選択肢がほとんどありませんでした。職場の相性が合わなかった時に、異動の希望を出せる環境の方がよいという気持ちもありました。
ただ、それだけではありません。
薬剤師として、いろいろな診療科の処方や店舗を経験してみたいという気持ちもありました。
大手であれば店舗数が多く、異動によって複数の診療科や地域の薬局を経験できる可能性があります。当時の自分にとっては、同じ店舗で働き続けるよりも、いろいろな現場を経験できる環境に魅力を感じていました。
また、前職より年収が下がっていたこともあり、できれば以前と同じくらいの年収に戻したいという気持ちもありました。
ただ、この点は紹介会社の担当者に、はっきり伝えていなかったと思います。
紹介会社は、最初の転職と同じところを利用しました。
この時も、自分で求人を探して比較するというより、紹介された求人の中から面接を受けて、その中で選ぶ形でした。
1回目の転職よりは、通勤時間や会社の規模、異動の可能性を見るようになっていました。
それでも、求人を広く比較したり、自分の希望条件を細かく整理して伝えたりするところまではできていませんでした。
2回目の転職では、通勤時間だけでなく、会社の規模や異動の選択肢も見るようになりました。
職場の相性という面でも異動できる環境は安心材料でしたが、それ以上に、複数の診療科や店舗を経験できることにも魅力を感じていました。
ただ、この時も紹介会社にすすめられた求人の中から選ぶ形で、自分から求人を広く比較する意識はまだ弱かったと思います。
3回目の転職では、管理薬剤師の経験と年収を重視した
3回目の転職は、大手の調剤併設ドラッグストアから、調剤薬局への転職でした。
この時に優先したのは、管理薬剤師として経験を積めることと、年収を上げることです。
大手の調剤併設ドラッグストアでは、社内での評価制度がありました。自分なりに取り組み、評価のランクが上がることもありました。
ただ、社内評価が上がったからといって、すぐに管理薬剤師やその上の役職になれるわけではありませんでした。上司からは、空いているポジションがないという話もありました。
もちろん、社内で飛び抜けた実績を積めば、また違ったのかもしれません。
ただ、自分の場合は、薬局の点数や売上につながる行動をして、実際に数字が良くなったとしても、それがすぐに役職や年収に反映されるわけではありませんでした。
大手には制度が整っている良さがあります。
教育体制や福利厚生、店舗数の多さなど、大手だからこそのメリットもあります。
一方で、ポジションに空きがなければ上に進みにくく、忙しい店舗で働いていても基本給が大きく変わるわけではありませんでした。
また、大手で働く中では、店舗運営上、薬剤師業務以外の対応が必要になる場面もありました。
人手が足りない時には、正社員としてそうした業務にも関わる必要がありました。
そうした経験から、管理薬剤師として実際に店舗を任される経験を積みたいこと、そして成果や負担がもう少し年収や役割に反映される職場で働きたいという気持ちが強くなりました。
この時は、最初の2回とは違い、紹介会社を複数利用しました。
それぞれの担当者に、管理薬剤師として働きたいこと、年収を上げたいことを伝え、その条件に合う求人の中から比較して選びました。
勤務地については、そこまで強くこだわっていませんでした。
すでに大手調剤併設ドラッグストアにいた時点で、異動に伴う引っ越しを経験していたため、勤務地はある程度どこでもよいと考えていました。
2回目までと比べると、紹介会社の使い方はかなり変わったと思います。
複数の紹介会社を使い、自分の希望条件も伝え、面接も多く受けました。
その意味では、以前よりは主体的に転職活動をしていました。
ただ、あとから考えると、それでも確認が足りなかった部分はあります。
次に働いた調剤薬局では、年ごとの昇給がなく、午前の診療が終わってから午後の診療が始まるまでの中休みが長い職場でした。そのため、実際には1日の拘束時間が長くなってしまいました。
年収や役職だけでなく、昇給の仕組み、中休みの長さ、1日の拘束時間まで見ておけばよかったと感じています。
3回目の転職では、管理薬剤師としての経験と年収を重視しました。
転職活動の進め方としては、それまでより主体的になっていました。
ただ、条件面を見る時に、年収や役職だけでなく、実際の働き方まで細かく確認することが大事だと学んだ転職でもありました。
4回目の転職では、拘束時間と続けやすさを重視した
4回目の転職は、内科・呼吸器科門前の調剤薬局から、皮膚科・整形外科門前の調剤薬局への転職でした。
この時に大事にしたのは、1日の拘束時間と、長く働ける環境かどうかです。
前の職場では、中休みを含めた1日の拘束時間が長くなっていました。午前の業務が終わってから午後の業務が始まるまでの時間が長いと、実際の勤務時間以上に一日が仕事中心になりやすいと感じていました。
また、病院との距離が近い門前薬局だったこともあり、勤務時間としては扱われない打ち合わせのようなものがありました。
管理薬剤師という立場だったため、参加しないという選択はしにくく、結果として休みの日や勤務時間外に負担を感じることもありました。
そのため、次の転職では、中休みが比較的短いシフト制の職場であること、勤務時間外の強制的な参加が少ないことを意識しました。
もし勉強会や打ち合わせのようなものがあっても、参加するかどうかを選べる環境の方がよいと考えていました。
紹介会社は、3回目の転職と同じように複数利用しました。
ただ、今回は以前よりもさらに細かく条件を聞くようにしました。
具体的には、1日のトータルの拘束時間、昇給や昇格の仕組み、年収がどのように上がるのか、長く働ける環境かどうかです。
転職や引っ越しが続いていたこともあり、次はできるだけ腰を据えて働ける職場を選びたいという気持ちもありました。
それまでの転職や異動を通して、ドラッグストア、調剤薬局、調剤併設ドラッグストア、内科・呼吸器科門前など、いくつかの働き方や診療科を経験してきました。
もちろん、まだ経験していない分野はあります。
それでも当時の自分としては、次は経験の幅を広げることだけを優先するより、これまでの経験を活かしながら、無理なく続けられる環境を選びたいと考えるようになっていました。
この時は、調剤薬局だけに絞らず、調剤併設ドラッグストア、企業、病院も候補に入れました。実際に病院の面接も受けましたが、最終的には条件や働き方を考えて、調剤薬局に転職しました。
結果として、年収や昇給、拘束時間については、事前に聞いていた内容と大きくずれていませんでした。
この点は、見ておいてよかったと思います。
一方で、大手ではないため、管理薬剤師より上のキャリアは基本的に多くありません。この点は、転職時にはあまり深く考えていませんでした。
ただ、現時点では、それを大きなマイナスとは感じていません。
管理薬剤師以上のキャリアを強く求めるのであれば別ですが、自分にとっては、拘束時間や働き方、続けやすさを重視した転職だったためです。
3回目の反省があったため、この時は年収だけでなく、拘束時間や昇給、勤務時間外の負担まで見るようになりました。
年収だけでなく、勤務時間や通勤時間、休憩時間まで含めて転職先を比べる考え方については、こちらの記事で詳しく整理しています。
関連記事:薬剤師の年収は高ければよい?拘束時間と時給で考えた転職先選び
紹介会社は便利だが、任せきりにはしない方がいい
私は、これまでの転職で紹介会社を使ってきました。
紹介会社を使うこと自体は、悪いことではないと思います。
自分では見つけにくい求人を紹介してもらえたり、条件の確認をしてもらえたり、面接の日程調整をしてもらえたりするため、転職活動の負担は軽くなります。
ただし、紹介会社に任せきりにするのは避けた方がよいと思います。
最初の頃の私は、紹介会社からすすめられた求人の中で面接を受け、その中から選んでいました。自分で求人を広く探したり、希望条件を細かく整理したりする意識は弱かったと思います。
転職を重ねる中で、紹介会社には自分の希望を具体的に伝える必要があると感じるようになりました。
たとえば、年収を上げたいと言っても、初年度の年収だけで見るのか、昇給も含めて見るのかで意味が変わります。
勤務時間も、求人票に書かれた時間だけでなく、中休みを含めた拘束時間まで確認しないと、実際の働き方は見えにくいです。
また、管理薬剤師として働きたい場合も、管理薬剤師になれるかどうかだけでなく、どのくらいの裁量があるのか、上のキャリアがあるのか、責任と待遇のバランスはどうかも見ておいた方がよいと思います。
紹介会社は、情報収集や調整の手段としては便利です。
ただ、最終的にその職場で働くのは自分です。
だからこそ、紹介会社に任せるのではなく、自分が何を重視するのかを整理したうえで使うことが大事だと感じています。
面接や見学では、職場を見る側の意識も持つようになった
内科・呼吸器科門前の薬局で働いていた時には、自分が面接を受ける側ではなく、面接に同席する側になることもありました。
採用の最終判断をする立場ではありませんでしたが、採用担当者の横で話を聞き、必要に応じて現場側として質問することがありました。
その経験を通して感じたのは、面接は会社が応募者を見るだけの場ではないということです。
もちろん、会社側は応募者の経験や考え方、人柄を見ています。
ただ、応募者側も、会社の説明の仕方、質問への答え方、現場の人がどのように関わっているかを見ることができます。
転職活動では、年収や勤務時間などの条件に目が行きやすいです。
それは当然大事です。
ただ、それと同じくらい、面接や見学の場で「この職場で働くイメージが持てるか」を確認することも大事だと感じるようになりました。
質問した時に、どのくらい具体的に答えてくれるのか。
現場の忙しさや人員体制について、どこまで説明してくれるのか。
不安な点を聞いた時に、ごまかさずに答えてくれるのか。
実際に働く人の雰囲気はどうか。
こうした部分は、求人票だけでは分かりません。
求人票や職場見学で確認したいポイントについては、こちらの記事でも整理しています。
関連記事:薬剤師の転職で求人票だけではわからないこと|面接・職場見学で見るべきポイント
面接は、選ばれるためだけの場ではなく、自分がその職場を選んでよいか確認する場でもあると思います。
今なら職場選びで確認したいこと
これまでの転職を振り返ると、職場選びで確認した方がよいことは、少しずつ増えていきました。
最初は、調剤経験を積めるかどうかが中心でした。
その後、通勤時間や異動できる環境、年収、管理薬剤師としての経験、昇給、拘束時間、長く働けるかどうかを見るようになりました。
今なら、求人を見る時には、年収や休日数だけでは判断しないと思います。
年収が高くても、昇給がほとんどない場合もあります。
勤務時間が短く見えても、中休みが長く、1日の拘束時間が長い場合もあります。
管理薬剤師として働けても、その上のキャリアがほとんどない場合もあります。
大手であれば異動の選択肢はありますが、希望通りになるとは限りません。
小規模な会社であれば距離感が近い良さがある一方で、異動や役職の選択肢は限られることもあります。
どちらが良い悪いではありません。
大事なのは、自分が何を優先するかです。
経験を積みたい時期なら、教育体制や処方内容を重視してもよいと思います。
生活を整えたい時期なら、通勤時間や拘束時間を重視してもよいと思います。
収入を上げたい時期なら、年収だけでなく昇給や役職の仕組みも確認した方がよいと思います。
管理薬剤師を目指すなら、任される範囲や責任、待遇とのバランスも見た方がよいと思います。
転職で何を重視するかは、その時の自分の状況によって変わります。
私自身も、最初から今と同じように職場を見られていたわけではありません。
転職を重ねる中で、少しずつ見るポイントが増えていっただけです。
まとめ
薬剤師の転職では、職場選びで重視することが人によって違います。
また、同じ人でも、経験や年齢、生活状況によって優先することは変わります。
私の場合、最初の転職では調剤経験を積めることを大事にしていました。
2回目では、通勤時間や、異動によって複数の診療科を経験できる環境を考えるようになりました。
3回目では、管理薬剤師としての経験と年収を重視しました。
4回目では、拘束時間や昇給、長く働けるかどうかを重視しました。
紹介会社は、転職活動を進めるうえで便利な手段です。
ただし、紹介会社に任せきりにするのではなく、自分の希望条件を整理したうえで使うことが大事だと思います。
求人票に書かれている条件だけでは、実際の働き方は分かりません。
面接や見学で確認できることもありますし、紹介会社を通して聞けることもあります。
転職は、必ずしも正解が一つあるものではありません。
その時の自分にとって、何を優先するのか。
どこまでなら許容できるのか。
長く働ける職場なのか。
そういったことを考えながら選ぶことが大事だと、これまでの転職を振り返って感じています。
正社員として薬剤師転職を考えている場合、自分で求人を探すだけでなく、薬剤師向けの転職支援サービスを使う方法もあります。
ただし、転職支援サービスは、転職意思がある人が条件を整理したり、求人の詳細を確認したりするためのものです。求人だけを見たい、今の転職市場感だけ知りたい、という目的では合わない場合があります。
利用する場合は、対象条件や公式サイトの内容を確認したうえで、自分の希望する働き方に合うかを見てから判断するのがよいと思います。
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