大手調剤併設ドラッグストアで働いて感じたこと|入社前のイメージと現実

薬局薬剤師の働き方

新卒で入ったドラッグストアを退職したあと、私は一度、調剤薬局に転職しました。

前回の記事でも書いたように、新卒で入ったドラッグストアでは調剤業務に関わる機会がありませんでした。

当時の私は、

「このままでは、大学で学んだことを活かせないのではないか」

と感じていました。

今になって振り返ると、ドラッグストアでの経験も薬剤師として無駄ではありません。
OTC対応や接客、店舗での立ち回りなど、そこで身についたことはその後の仕事にも活きています。

ただ、当時は「調剤を経験しないと薬剤師として遅れてしまうのではないか」という焦りがありました。
そのため、調剤経験を積むために調剤薬局へ転職しました。

総合病院門前の調剤薬局を半年で辞めた理由

転職先は、総合病院の門前薬局でした。

処方内容としては循環器系が多く、調剤未経験だった自分にとっては、かなり負荷の大きい環境でした。

処方箋の見方や調剤薬局の流れ、病院門前薬局の忙しさなど、ドラッグストアでは経験できなかったことを知ることはできました。

一方で、実際に働いてみると、長く続けるのは難しいと感じる部分もありました。

業務の忙しさに加えて、調剤未経験の自分には余裕がありませんでした。
さらに、通勤にも片道1時間半近くかかっており、往復で1日3時間近くを通勤に使っていました。

また、上司の指示や判断に一貫性を感じられず、未経験の自分には戸惑う場面も多くありました。

ただし、職場全体が悪かったというわけではありません。
上司以外の職場の方々は、本当に良い人ばかりでした。

だからこそ、その職場を悪く言いたいわけではありません。
当時の自分の経験値、通勤時間、働き方、上司との相性などが重なり、自分には長く続けるのが難しかったのだと思います。

結果として、その薬局は半年ほどで退職することになりました。

短い期間ではありましたが、この半年で「調剤薬局で働く」ということの一部を知ることができました。
同時に、次に職場を選ぶなら、教育体制や通勤時間、働き方、職場環境も含めて考えなければいけないと感じました。

次の職場選びで重視したこと

半年で退職することになった経験から、次の職場選びではいくつか重視したことがありました。

まずは、教育体制です。

半年間の調剤経験はありましたが、その期間に教えてもらったのは、どちらかというと「今その薬局で働くために必要なこと」が中心でした。

もちろん、まったく教えてもらえなかったわけではありません。
ただ、調剤業務を基礎から順番に学んだというより、その場その場で必要なことを急いで覚えていく感覚に近かったです。

そのため、次の職場では、半年の経験があるとはいえ、もう一度きちんと調剤業務を一から学べる環境を探したいと思いました。

次に重視したのが、通勤時間です。

片道1時間半だと、往復で1日3時間近くを通勤に使います。
残業がなかったとしても、薬の勉強をする時間やプライベートの時間はかなり少なくなります。

そのため、次の職場では、できるだけ自宅から近い店舗で働けることを重視しました。
必要であれば、別の地域に引っ越すことも視野に入れていました。

また、ドラッグストアでの経験も活かしたいという気持ちがありました。

私は新卒で入ったドラッグストアで、約4年間働いていました。
調剤業務はできませんでしたが、接客やOTC対応、売場での対応など、そこで経験したことも自分にとっては大事な財産でした。

調剤を経験したい一方で、ドラッグストアで身につけた経験がまったく活きないのはもったいないとも感じていました。

そのため、調剤だけに完全に寄せるのではなく、ドラッグストアでの経験も活かしながら調剤を学べる職場を希望するようになりました。

年収面も、現実的には無視できませんでした。

調剤薬局に転職したことで、ドラッグストア時代と比べて収入面では下がった部分がありました。
年収だけで職場を選ぶわけではありませんが、長く働くことを考えると、生活面で納得できるかどうかも大事です。

また、職場や上司との相性についても考えるようになりました。

ただ、こればかりは実際に配属されてみないと分からない部分があります。
だからこそ、もし配属先が合わなかった場合に、異動希望を出せる会社の方がよいと考えました。

こうして振り返ると、次の職場選びで重視したのは、調剤を一から学べる教育体制、通勤時間の短さ、ドラッグストア経験を活かせること、年収面で納得できること、そして異動の選択肢があることでした。

その条件に合いやすかったのが、大手の調剤併設ドラッグストアでした。

大手調剤併設ドラッグストアに入社する前のイメージ

次の職場として選んだのが、大手の調剤併設ドラッグストアでした。

入社前に一番期待していたのは、調剤とドラッグストアの両方を経験できることです。

前職で調剤薬局を経験したことで、調剤業務はしっかり学びたいと思っていました。
一方で、新卒から約4年間働いたドラッグストアでの経験も、できれば活かしたいという気持ちもありました。

その点、調剤併設型のドラッグストアであれば、調剤だけに完全に寄るのではなく、OTCや接客の経験も活かしながら働けるのではないかと思っていました。

調剤室にこもりっぱなしになるのではなく、必要に応じてOTC売場にも出る。
お客様と直接話しながら、市販薬や健康相談に関わる機会もある。

そういう働き方であれば、調剤薬局とドラッグストアの中間のような形で、バランスよく経験を積めるのではないかと考えていました。

また、大手であれば、薬剤師として現場で働くだけではなく、将来的に店舗運営やマネージャー職のような道もあるのではないかというイメージもありました。

明確に管理職を目指していたわけではありません。
ただ、現場薬剤師以外の選択肢もある会社の方が、長く働くうえでは安心できると思っていました。

さらに、大手ならではの安心感もありました。

研修制度が整っていて、調剤経験がまだ浅い自分でも、基礎から学び直せるのではないか。
店舗数が多いため、通勤面や配属先についても、ある程度は相談できるのではないか。
人員が足りない店舗があっても、会社として応援や補充の体制があるのではないか。

そういった期待もありました。

もちろん、入社前なので実際のところは分かりません。
ただ、当時の自分にとって、大手調剤併設ドラッグストアは、調剤を学べること、ドラッグストアでの経験を活かせること、将来の選択肢が広がることを期待できる職場に見えていました。

実際に働いて感じた現実

実際に働いてみると、調剤とドラッグストアの両方を経験することはできました。

ただし、どのくらいの割合で関わるかは、配属先の店舗によってかなり違いました。

ほぼ調剤中心の店舗もありました。
一方で、調剤もOTCも両方やる必要がある店舗もありました。
中には、OTC側の人員が少なく、売場や接客の仕事に関わる時間が多い店舗もありました。

このあたりは、入社前に想像していた「バランスよく働ける」というイメージとは少し違いました。

ただ、調剤併設ドラッグストアである以上、店舗によって調剤とOTCの比重が違うこと自体は、ある程度想定内でもありました。

一方で、研修制度については、大手らしく整っていたと感じます。

私は半年ほど調剤薬局で働いた経験がありましたが、調剤経験としてはまだ浅い状態でした。
それでも、新卒や未経験者と同じような研修を受けることができました。

一度調剤薬局を経験していたとはいえ、基礎からきちんと学び直したいと思っていた自分にとって、この点はかなりありがたかったです。

また、店舗数が多いことも、大手ならではの特徴でした。

実際、私自身も1〜2年に1回くらいの頻度で異動がありました。
これは人によって感じ方が分かれる部分だと思います。

同じ店舗で長く落ち着いて働きたい人にとっては、異動が多いことは負担になるかもしれません。
一方で、いろいろな店舗や処方内容、働き方を経験したい人にとっては、経験の幅を広げる機会にもなります。

人員面についても、大手らしさはありました。

誰かが異動や退職になった場合でも、基本的には大きく間を空けずに次の人員が配属されることが多かったです。

もちろん、常に十分な人数がいるという意味ではありません。
ただ、会社として人を動かす仕組みがある点は、小規模な薬局とは違う部分だと感じました。

また、薬剤師として現場で働くだけでなく、希望すれば店舗運営やマネージャー職のようなキャリアに進む道もありました。

私自身は、結果的にその方向には進みませんでした。
会社が進ませてくれなかったというより、自分がその道を強く希望しなかったという方が正確です。

その意味では、入社前に持っていた「大手なら将来の選択肢が多いのではないか」というイメージは、ある程度その通りだったと思います。

また、会社独自の資格や評価制度もありました。

薬剤師免許や認定薬剤師とは別に、社内で決められた資格やランクのようなものがあり、試験に合格すると手当や給与面に反映される仕組みです。

このあたりも、大手らしく制度が整っている部分だと感じました。
一方で、給与を上げていくには、日々の業務だけでなく、会社の評価制度に沿って取り組む必要があるとも感じました。

この制度については、また別の記事で詳しく書こうと思います。

大手調剤併設ドラッグストアで感じた良い点と大変だった点

良かった点

大手調剤併設ドラッグストアで働いて良かった点として、まず研修制度の充実があります。

調剤経験が浅い状態で入社した自分にとって、基礎から研修を受けられたことは大きかったです。

半年間の調剤薬局経験だけでは、自分の中でまだ不安が残っていました。
そのため、改めて一から学べる機会があったのは安心材料になりました。

また、福利厚生が整っていたことも大手ならではだと思います。

正直に言うと、自分自身が福利厚生をフルに活用していたわけではありません。
ただ、制度として用意されているものが多いことは、長く働くうえでの安心感につながります。

もう一つ良かったのは、マニュアルがかなり整備されていたことです。

現場で迷うことがあったときに、確認できる基準がある。
これは大手ならではの強みだと思います。

もちろん、すべてがマニュアル通りにいくわけではありません。
実際の現場では、その場の状況に合わせた判断も必要です。

それでも、基本的なルールや手順が整っていることは、経験が浅い時期には特に助けになりました。

大変だった点

一方で、大手ならではの大変さもありました。

まず、人の入れ替わりが多いことです。

私自身、全国どこでも引っ越してよいという形で会社に伝えていたこともあり、異動は比較的多い方だったと思います。
そのため、同じ店舗で人間関係が落ち着く前に、また次の環境に移ることもありました。

いろいろな店舗を経験できることはメリットでもあります。
ただ、その反面、環境が変わるたびに新しい人間関係を作り直す必要があります。

これは、思っていた以上に負担になる部分もありました。

また、大手である以上、いろいろなタイプの人と働くことになります。

幅広い年齢、経験、考え方の人と働くことで学べることも多くあります。
ただ、当然ながら、自分と合う人ばかりではありません。

このあたりは、規模が大きい会社だからこそ起こりやすい部分だと思います。

特に自分にとって大きかったのは、正社員として年上のパート・アルバイトの方に指示を出す場面があったことです。

新卒で入ったドラッグストアでは、自分は新卒だったため、基本的に人に指示を出す立場ではありませんでした。
その後に働いた調剤薬局でも、自分が一番年下で、経験も浅い立場でした。

しかし、大手調剤併設ドラッグストアに正社員として入社してからは、年齢が上の方に対しても、業務上必要なことを伝えなければならない場面がありました。

これは、当時の自分にとってかなり難しい経験でした。

薬剤師として薬の知識を身につけることとは別に、職場の中で人に動いてもらうこと、相手に伝わるように指示を出すことの難しさを感じました。

大手調剤併設ドラッグストアでは、薬剤師として働くだけでなく、店舗の一員として、場合によっては現場を回す役割も求められます。
その点は、入社前に想像していたよりも大変だった部分です。

まとめ

大手調剤併設ドラッグストアに入社する前は、調剤とドラッグストアの両方をバランスよく経験できる職場だと思っていました。

実際に働いてみると、そのイメージは半分当たっていて、半分は配属先次第でした。

調剤中心の店舗もあれば、OTCや売場対応も多い店舗もあります。
調剤とドラッグストアの両方に関われることは確かですが、どのくらいの割合で関わるかは、店舗の状況によって大きく変わります。

一方で、大手ならではの良さもありました。

研修制度は整っていましたし、調剤経験が浅い状態でも基礎から学び直す機会がありました。
マニュアルも整備されており、困ったときに確認できる基準があることは安心材料でした。

また、店舗数が多いため、異動によって複数の店舗を経験できることも大きな特徴でした。

これは人によっては負担になりますが、いろいろな処方内容や働き方を経験したい人にとっては、経験の幅を広げる機会にもなります。

ただし、大手だからこその大変さもあります。

人の入れ替わりが多く、人間関係が落ち着きにくいこともありました。
幅広い年齢や考え方の人と働くため、自分と合う人ばかりではありません。

また、正社員として年上のパート・アルバイトの方に指示を出す場面もあり、薬の知識とは別の難しさも感じました。

振り返ると、大手調剤併設ドラッグストアは、調剤だけをじっくりやりたい人には合わない部分もあると思います。

一方で、調剤、OTC、接客、店舗運営、人との関わりなど、幅広く経験したい人には向いている環境だと感じます。

私自身、入社前に思っていた通りだった部分もあれば、実際に働いてみて初めて分かった部分も多くありました。

それでも、半年で辞めた調剤薬局のあとに、もう一度調剤を学び直せたこと。
ドラッグストアでの経験を完全に捨てずに働けたこと。
複数の店舗を経験しながら、薬剤師としてだけでなく、会社の中で働くということも学べたこと。

これらを考えると、大手調剤併設ドラッグストアで働いた5年半は、自分にとってかなり大きな経験だったと思います。

次の記事では、この大手調剤併設ドラッグストアでの5年半を通して、実際に身についたことについて書いていきます。

関連記事:次の記事では、「大手調剤併設ドラッグストアで5年半働いて身についたこと」について書いています。

関連記事:これまでの転職で職場選びに何を考えたかは、「薬剤師の転職で職場選びに考えたこと」でまとめています。