OTC類似薬は保険適用外になる?2027年3月予定の追加負担を薬剤師向けに整理

薬局実務

※この記事は2026年9月26日時点で公表されている厚生労働省、中医協、社会保障審議会医療保険部会の資料をもとに整理しています。制度開始までに、具体的な運用が追加・変更される可能性があります。

OTC類似薬の一部について、2027年3月から「一部保険外療養」という新しい仕組みが始まる予定です。

2026年9月16日の中医協資料では、2027年3月1日施行予定と、これまでより具体的な日付も示されています。

「OTC類似薬が保険から外れる」と聞くと、対象となる薬がすべて自費になるようにも見えますが、今回の制度はそうではありません。

対象となる薬について、薬剤費の一部を通常の自己負担とは別に患者が支払う仕組みで、薬剤費全額が自費になるわけではありません。

薬局では今後、

「この薬は保険が効かなくなるんですか?」

「今までと何が変わるんですか?」

「市販薬を買った方がいいんですか?」

と聞かれる場面も出てくると思います。

この記事では、現時点で分かっている制度の内容と、薬局で何を確認し、どこまで対応することになるのかを整理します。

OTC類似薬の見直しは「一部保険外療養」

今回創設されるのは「一部保険外療養」という仕組みです。

対象となった医療用医薬品を使用した場合、その薬剤費の一部について通常の保険診療とは別の負担を求めます。

つまり、「これまで3割負担だった薬が、すべて10割負担になる」という制度ではありません。

また、診察料や調剤にかかる費用など、医療費全体に一律25%が追加されるという意味でもありません。

制度自体は法改正済みです。

2026年9月16日の中医協資料では、2027年3月1日の施行が予定されています。

ただし、現時点では「3月1日(予定)」という扱いです。この記事でも、確定日としてではなく「2027年3月1日施行予定」として扱います。

追加負担はどういう仕組みか

厚労省資料では、対象となる医薬品の価格の4分の1に相当する額を、通常の自己負担とは別に支払う仕組みが示されています。

残りの部分が保険給付の対象となり、そこに通常の自己負担割合が適用されます。

そのため、

「今まで支払っていた薬代に25%をそのまま上乗せする」

という計算ではありません。

患者の自己負担割合や薬価、処方量によって実際の支払額は変わります。

別途負担については、

対象医薬品の価格の4分の1 × 投薬全量

で計算し、別途負担額の1円単位を四捨五入する例が示されています。

たとえば計算結果が247.8円なら、別途負担は250円となります。

厚生労働省は、3割負担の場合を例にした自己負担額のイメージも示しています。

画像出典:厚生労働省「医療保険制度改正法が成立しました」内「OTC類似薬の薬剤給付の見直し」

※この図は患者負担のイメージを示したものです。対象外となる条件については、その後の厚労省資料でさらに具体化されています。

なお、別途負担に対する消費税の扱いは、2026年9月26日時点でも政府内で検討中です。

そのため、消費税を含めた最終的な患者負担額の計算方法は、まだ確定していません。

対象は77成分|2026年8月時点で1,042品目

対象となる医薬品は、OTC医薬品と成分・投与経路が同一で、1日の最大用量が異ならない医療用医薬品などを基本として整理されています。

2026年9月の資料でも、77成分・1,042品目という整理に変更はありません。

1,042品目は2026年8月時点の品目数です。

薬局で比較的見かけるものでは、フェキソフェナジン、ロラタジン、エピナスチン、酸化マグネシウム、ピコスルファート、ビサコジル、L-カルボシステイン、ヘパリン類似物質なども対象品目に含まれています。

抗アレルギー薬、便秘薬、去痰薬、皮膚外用薬など、対象となる薬の範囲は広くなっています。

花粉症で使われる薬の違いについては、別記事で整理しています。

関連記事:花粉症の薬はどう違う?抗ヒスタミン薬・点鼻薬・点眼薬・抗ロイコトリエン薬を薬剤師が整理

この記事に対象品目をすべて掲載しても実用的ではありません。

全国保険医団体連合会では、厚労省が示した対象品目を成分名・商品名から検索できるページが公開されています。

個々の薬が対象に含まれているか確認するときには、OTC類似薬の対象薬検索ページが便利です。

制度内容そのものについては、厚労省資料を優先して確認します。

また、対象品目は今後の薬価削除やOTC化などによって変わる可能性があります。1,042品目で今後も固定されるわけではありません。

対象薬でも追加負担にならない場合がある

対象品目を処方されたからといって、必ず追加負担になるわけではありません。

2026年9月16日の医療保険部会資料では、18歳になった後の最初の3月31日までのこどもや、生活保護の医療扶助を受ける場合などが別途負担の対象外として整理されています。

そのほかにも、がんやがん治療に関連する使用、指定難病や指定難病に関連する治療、一定の公費負担医療、入院中・退院時処方、処置・手術・検査に伴う14日分までの使用、OTC医薬品では対応できない効能・効果で使用する場合などが対象外となります。

ここで注意したいのは、指定難病やがんの患者であれば、その患者に処方されるOTC類似薬がすべて対象外になるわけではないことです。

指定難病やがん、その治療と関係のない症状に使用する場合は、原則として別途負担の対象となります。

長く使っている薬なら対象外になる?

長期使用についても、以前より考え方が具体化されています。

「慢性疾患なら対象外」「半年飲めば対象外」という仕組みではありません。

内服薬では、年間処方日数がおおむね50週であることが、年間を通じた使用の必要性を判断する目安として示されています。

ただし、過去に50週分の処方実績がなければ対象外にできないという意味ではありません。

少なくとも6か月程度の使用実績があり、その後も年間を通じて使用することが医療上必要であると医師が判断した場合には、50週に達する前でも別途負担の対象外となり得ます。

転医前から同じ薬を長期間使用している場合などは、その治療歴も判断材料になります。

過去の処方歴をすべて調べる必要があるわけではなく、診療情報提供書、薬剤情報、お薬手帳、オンライン資格確認による薬剤情報など、診療時に確認できる情報を利用する考え方です。

そのため、

「半年使えば自動的に対象外になる」

あるいは、

「50週分の処方実績がそろうまで対象外にできない」

という理解はどちらも正確ではありません。

また、「おおむね50週」が具体的にどの程度の範囲を指すのかなど、個別の当てはめについては、制度施行に向けて引き続き整理されています。

外用薬は恒久的な対象外と経過措置を分けて考える

外用薬についても、2026年9月の資料で整理が進みました。

アトピー性皮膚炎では、皮膚保湿剤の長期使用に加えて、プロアクティブ療法などとして年間を通じて定期的にステロイド外用薬を使用する場合も別途負担の対象外とされています。

これは単なる期間限定の経過措置ではなく、年間を通じた使用の医学的必要性を踏まえた対象外の整理です。

一方で、

重度の変形性膝関節症に対する湿布

や、

アトピー性皮膚炎以外で皮膚保湿剤などを長期使用する場合

については扱いが異なります。

これらは、2028年度末(2029年3月末)までの経過措置として別途負担の対象外とされています。

その後については、診療ガイドラインなどの根拠を踏まえて必要な見直しを行う方針です。

つまり、アトピー性皮膚炎に対する保湿剤やプロアクティブ療法と、重度の変形性膝関節症に対する湿布などの経過措置は分けて考える必要があります。

指定難病は何で確認する?

指定難病患者については、原則として自治体が発行する特定医療費(指定難病)受給者証または登録者証で確認します。

ただし、制度開始時点ですべての患者が登録者証を取得しているとは限りません。

そのため、2027年度末(2028年3月末)までは、指定難病患者であることを客観的に確認できる一定の書類による代替確認を認める経過措置が設けられています。

2028年度以降は、受給者証または登録者証による確認のみとする整理です。

なお、代替確認に使える書類の具体的な範囲については、2026年9月26日時点では詳細が出そろっていません。

薬局では誰が対象かを一から判断するわけではない

がん、指定難病、長期使用など医学的な判断が必要な事項については、診療を踏まえて医師が最終的に判断することが基本です。

薬局が患者の疾患や治療歴を一から調べて、追加負担の対象にするかどうかを決める制度ではありません。

医療機関から薬局へその情報を伝えるため、新しい処方箋様式には「一部保険外療養」欄が追加されます。

対象薬を処方する場合は、

別途負担の対象であれば「○」

対象外であれば「-」

を記載する運用です。

画像出典:中央社会保険医療協議会 総会(第657回)資料|2026年9月16日

※上の図は、厚生労働省が示した新しい処方箋様式のうち、「一部保険外療養」に関係する部分を分かりやすく抜粋・再構成したものです。

この記載によって、薬局では処方された対象薬が別途負担の対象なのか、対象外なのかを確認できます。

一方、変更前の処方箋様式も当面の間使用できる経過措置が設けられる予定です。

そのため、制度開始直後は新旧の処方箋様式が混在する可能性があります。

旧様式を使用した場合に、対象・対象外の情報を薬局へ具体的にどう伝えるかなど、細かな運用は2026年9月26日時点ではまだ示されていません。

薬局側では現時点で、

処方箋で対象・対象外を確認し、患者へ説明し、対象であれば別途負担を徴収する。不明点があれば必要に応じて疑義照会する

という流れまでが分かっています。

処方内容に疑問があるときの確認や疑義照会の考え方については、別記事で整理しています。

関連記事:疑義照会が怖い薬剤師へ|間違い探しではなく処方意図を確認する仕事

レセプト・レセコンは具体的な仕様待ち

薬局実務では、ここが今後重要になります。

厚労省は、対象医薬品に係る薬剤コード、OTC医薬品では対応できない効能・効果や傷病名の一覧、別途負担を求めない場合のレセプト記載の標準例などを作成・公表し、電子カルテやレセコンの改修に利用できるようにする方針を示しています。

ただし、2026年9月26日時点では、具体的な薬剤コード、コメントコード、標準的なレセプト記載例、薬局側の入力手順までは公表されていません。

そのため現時点では、

「レセコンではこの項目を選択する」

「このコメントコードを入力する」

といった具体的な操作までは記事に書けません。

電子処方箋についても、一部保険外療養に対応する具体的な仕様はまだ確認できていません。

この部分は今後の通知やQ&Aを待つ必要があります。

薬局内やウェブサイトへの費用掲示は不要

通常の選定療養などでは、内容や費用を院内・薬局内やウェブサイトに掲示する義務があります。

一方、今回の一部保険外療養は、医療機関や薬局が独自に内容や価格を決める制度ではありません。

2026年9月16日に中医協で答申された法令改正案では、一部保険外療養について院内・薬局内やウェブサイトへの掲示義務は課さないと整理されています。

そのため、現時点では「薬局内やホームページに対象薬の追加負担額を必ず掲示する」といった対応は必要ありません。

患者にはどう説明すればよいか

「この薬は保険が効かなくなるんですか?」

「薬が全部自費になるわけではありません。対象になった薬について、薬代の一部を通常の自己負担とは別に支払う仕組みが始まる予定です。」

「保険適用外」という言葉だけだと、薬代がすべて自己負担になると受け取られる可能性があります。

まずは「全部自費になるわけではない」と説明する方が分かりやすいと思います。

「どうして追加料金がかかるんですか?」

「市販薬と成分などが同じ医療用医薬品について、保険で負担する範囲を一部見直す制度です。」

患者さんに制度への賛否まで説明する必要はありません。

薬局では、「なぜ今回の会計がこれまでと違うのか」が分かる程度に説明するのが現実的だと思います。

「市販薬を買った方がいいんですか?」

ここは、「市販薬の方がよい」「市販薬の方が安い」と単純に案内しない方がよいところです。

同じ成分を含むOTC医薬品があっても、医療用医薬品と効能・効果が完全に同じとは限りません。

今回の制度でも、OTC医薬品では対応できない効能・効果で使う場合には、別途負担の対象外となります。

症状や治療目的、年齢、妊娠・授乳、併用薬、基礎疾患によっても判断は変わります。

「市販薬で対応できるかは症状や使っている薬によって変わるので、処方薬が不要とは一概に言えません」

くらいの説明がよいでしょう。

処方薬と市販薬を一緒に使用するときの重複や確認点については、こちらの記事でも整理しています。

関連記事:薬剤師が市販薬やサプリを確認する理由|飲み合わせだけではない注意点

「前は払わなかったのに、なぜ今回は払うんですか?」

制度開始前と比べているのであれば、新しい一部保険外療養の仕組みが始まることが理由になります。

一方、制度開始後も、同じ薬だから毎回必ず同じ扱いになるとは限りません。

同じ成分でも、OTC医薬品では対応できない効能・効果で使用する場合や、年間を通じた使用が医療上必要と判断された場合などは、別途負担の対象外となることがあります。

薬局ではまず処方箋の「一部保険外療養」の記載を確認し、内容が分からない場合には必要に応じて処方元へ確認することになるでしょう。

制度開始までにまだ決まっていないこともある

2026年9月の医療保険部会・中医協によって、以前より具体的な運用が分かってきました。

一方、2026年9月26日時点でも、薬局実務の細部はまだすべて公表されたわけではありません。

今後公表される予定となっているものには、全国共通のQ&A、具体的な判断事例、対象薬剤の薬剤コード、OTC医薬品では対応できない傷病名等の一覧、レセプトの標準的な記載方法、患者説明資料などがあります。

また、消費税の扱いも現時点では検討中です。

現時点で薬局側に分かっているのは、

医師側で対象・対象外を判断し、その情報を処方箋で薬局へ伝え、薬局では内容を確認して患者へ説明・会計する

という大枠までです。

レセコンでどの項目を入力するのか、対象外の場合にどのコメントコードを使用するのかといった実際の操作は、今後の通知やQ&Aを確認する必要があります。

まとめ

今回の見直しは、OTC類似薬をすべて保険給付から外すものではありません。

対象薬について薬剤費の一部を別途負担する「一部保険外療養」という仕組みで、2026年9月時点では2027年3月1日の施行が予定されています。

対象品目であっても、治療目的や患者背景、年間を通じた使用の医学的必要性などによって、別途負担の対象外となる場合があります。

2026年9月には、長期使用の考え方、アトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法、指定難病患者の確認方法、新しい処方箋様式、掲示義務なども具体化されました。

一方で、レセプトやレセコンの具体的な入力方法、電子処方箋の対応、全国共通Q&A、消費税などはまだ詳細が出そろっていません。

制度開始までに新しい通知やQ&Aが公表された場合は、この記事も随時更新していきます。

参考資料