薬剤師が市販薬やサプリを確認する理由|飲み合わせだけではない注意点

薬局実務

薬局で服薬指導をしていると、処方薬だけでなく、市販薬やサプリについて確認する場面があります。

患者さんからすると、市販薬やサプリは「病院でもらった薬」とは別のものとして考えられていることがあります。そのため、「他に飲んでいる薬はありますか」と聞いても、病院でもらっている薬だけを答え、市販薬やサプリは出てこないことがあります。

しかし、市販薬やサプリも、処方薬と一緒に使うことで注意が必要になる場合があります。

市販薬の成分が処方薬と重なることもありますし、成分名が違っても、効果や副作用が似ていることもあります。サプリや健康食品については、処方薬との相互作用の情報が十分に確認できないこともあります。

この記事では、薬剤師がなぜ市販薬やサプリまで確認するのか、現場で感じたことをもとに整理します。

患者さんは市販薬やサプリを「薬」と思っていないことがある

服薬指導で「他に飲んでいる薬はありますか」と確認しても、患者さんが市販薬やサプリまで含めて答えてくれるとは限りません。

処方薬は答えてくれても、市販の痛み止め、風邪薬、胃薬、便秘薬などは出てこないことがあります。サプリに関しては、「サプリは飲んでいますか」と直接聞かないと、答えに出てこないことが多いと感じています。

ビタミン剤も同じです。

ビタミン剤には医薬品として販売されているものもありますが、患者さんの中では「薬」ではなく「栄養を補うもの」として扱われていることがあります。

つまり、市販薬やサプリを確認したい場合は、「他に薬はありますか」だけでは不十分なことがあります。

「病院の薬以外に、市販薬やサプリは飲んでいますか」
「ビタミン剤や健康食品も含めて、続けているものはありますか」
「飲み薬以外に、貼り薬や塗り薬、目薬などは使っていますか」

このように、具体的に聞いた方が確認しやすくなります。

処方薬であれば、お薬手帳や薬剤情報で確認できることがあります。しかし、市販薬やサプリは、そこに記録されていないことが多いです。

そのため、薬剤師が直接聞き取ることが大切になります。

患者さんに伝わる聞き方や説明の考え方については、以下の記事でも触れています。
関連記事:患者に薬を説明するのが苦手な薬剤師へ|専門用語を使わない服薬指導の考え方

問診票やお薬手帳だけでは確認しきれないことがある

薬局では、初回来局時に問診票を書いてもらうことがあります。

問診票とは、持病・アレルギー・併用薬などを確認するために、患者さんに記入してもらう用紙です。

問診票の中に、市販薬やサプリを使っているかどうかの項目がある場合もあります。しかし、その項目があっても、必ず書いてもらえるとは限りません。

市販薬やサプリを薬だと思っていない。
書く必要があると思っていない。
答えにくい内容なので書きたくない。

理由はいろいろ考えられます。

また、お薬手帳に市販薬やサプリまで記載している患者さんも、実際にはあまり多くありません。薬剤師として働いてきた中でも、市販薬やサプリをきちんと手帳に書いている人は、ほとんど見かけない印象です。

もちろん、患者さんを責める必要はありません。

ただ、薬剤師側としては、市販薬やサプリの情報があるだけで確認しやすくなります。

お薬手帳に商品名を書いてもらう。
箱やラベルの写真をスマホに残してもらう。
使っているサプリの名前をメモしてもらう。
現物の一部を持ってきてもらう。

このような形でも十分役に立ちます。

完璧な記録でなくても、商品名や写真があるだけで、確認できる情報は増えます。

また、市販薬やサプリに限らず、内容的に患者さんが答えにくい薬を使っている場合もあります。そのため、確認するときは責めるように聞くのではなく、安全確認のために必要であることが伝わるように聞くことが大切です。

たとえば、

「飲み合わせを確認したいので、市販薬やサプリも含めて教えてください」

と理由を添えると、患者さんも答えやすくなります。

市販薬やサプリを確認する目的は、患者さんを責めることではなく、安全に薬を使ってもらうためです。

市販薬は商品名が分からないと判断しにくい

市販薬を使っていることが分かっても、正確な商品名まで覚えている患者さんは意外と多くありません。

「市販の風邪薬です」
「青い箱の薬です」
「白い錠剤です」
「ビタミン剤です」
「ドラッグストアで買った薬です」

このように、パッケージや色、大まかな分類で伝えられることがあります。

大まかな傾向が分かれば、ある程度判断できることもあります。たとえば、風邪薬なのか、痛み止めなのか、胃薬なのか、ビタミン剤なのかが分かれば、今の処方薬や持病との関係を考えやすくなる場合があります。

ただし、市販薬は複数の成分を組み合わせた商品が多いです。

同じ「風邪薬」でも、商品によって入っている成分は異なります。鼻水を抑える成分、咳を抑える成分、熱や痛みを抑える成分、眠気が出やすい成分などが組み合わされていることがあります。

そのため、正確な商品名が分からないと、処方薬との重複や副作用の重なりを判断しにくいことがあります。

商品名が分からない場合は、無理にその場で断定しない方が安全です。

まずは、何のために使っているのか、どの症状に使っているのか、どこで買ったのか、どのくらいの頻度で使っているのかを確認します。

現物、箱、説明書、スマホで撮った写真などがあると、薬剤師側としてはかなり確認しやすくなります。その場で分からない場合は、次回来局時に持ってきてもらう、家に帰ってから商品名を連絡してもらう、といった対応をすることもあります。

成分が同じでなくても、効果効能が重なることがある

市販薬と処方薬の確認では、同じ成分が重なっていないかを見ることがあります。

ただ、実際には成分名がまったく同じでなくても、効果や目的が近い薬が重なることもあります。

たとえば、処方薬で症状を抑える薬が出ているのに、市販薬でも同じような目的の薬を使っている場合です。

このとき、「薬が増えるから、より効きやすくなる」と考えるよりも、「副作用が出やすくなる可能性がある」と考えることが多いです。

もちろん、すべての併用が問題になるわけではありません。
しかし、同じような効果を狙った薬を重ねる場合は、必要性を考える必要があります。

特に市販薬には、病院や薬局で普段あまり見慣れない成分が入っていることもあります。細かな成分をすべて説明するよりも、まずは効果効能を確認し、処方薬や持病と重なっていないかを見ることが現実的です。

効果効能が明らかに重なっている場合は、基本的には併用を避けるように伝えることが多いです。

処方内容に疑問があるときの確認や疑義照会の考え方は、以下の記事で整理しています。
関連記事:疑義照会が怖い薬剤師へ|間違い探しではなく処方意図を確認する仕事

サプリや健康食品は確認できる情報に限界がある

市販薬であれば、成分が分かれば添付文書やメーカー情報などから確認できることがあります。

一方で、サプリや健康食品は、医薬品とは異なります。

サプリには、医薬品以上に多くの成分が含まれている商品もあります。また、処方薬との相互作用について、十分なデータが確認できないこともあります。

メーカーに確認しても、薬との飲み合わせについて明確な情報を持っていない場合があります。

そのため、サプリや健康食品については、

「問題ありません」
「絶対に大丈夫です」

と簡単に断言しにくいことがあります。

薬剤師としては、確認できる範囲で調べます。
しかし、確認できる情報に限界がある場合は、その限界も含めて説明する必要があります。

たとえば、

「確認できる範囲では大きな問題は見つかりませんでした。ただし、サプリや健康食品は、薬との飲み合わせについて十分な情報がないこともあります。体調の変化があれば、医師や薬剤師に相談してください。」

このような伝え方になります。

分からないことを無理に断定しないことも、薬剤師として大切な対応だと感じています。

添付文書やメーカー資料で確認する考え方は、以下の記事でも書いています。
関連記事:添付文書はどこを見る?調剤薬局でまず確認したいポイント
関連記事:メーカー問い合わせは薬剤師の大事な確認手段|添付文書で分からないときの調べ方

市販薬で改善しているか、改善していないかも確認する

市販薬を使っている場合、その薬で症状がどう変わっているかも大切です。

市販薬を使ってだいぶ楽になっている。
症状が改善に向かっている。
今の処方薬と併用しても大きな問題がなさそう。

このような場合は、そのまま続けるように伝えることもあります。

ただし、その場合でも、かかっている病院には市販薬を使っていることを伝えてもらう方がよいです。

一方で、市販薬をしばらく使っても改善しない場合は、受診勧奨を考えます。

市販薬は、病院の薬より必ず効き目が弱いというわけではありません。市販薬でもしっかり効くものはあります。

しかし、しばらく使っても改善しない、使わないとすぐぶり返す、何度も同じ症状を繰り返している場合は、市販薬で対応しきれていない可能性があります。

自分ではその症状に合うと思って薬を選んでいても、原因が違う場合があります。
また、市販薬だけでは抑えきれない状態になっている場合もあります。

そのようなときは、自己判断で市販薬を続けるより、医師に診てもらう方がよいです。

特に、高熱、今まで経験したことのない強い痛み、出血が止まらない、症状が悪化している場合は、安易に市販薬で様子を見るより、早めに受診を考えるべきです。

市販薬が症状を隠してしまうこともある

市販薬を使っていることは、医師にも伝えてもらう必要があります。

理由の一つは、同じような薬を重ねないためです。すでに市販薬を使っているなら、病院で同じ目的の薬を出す必要がない場合があります。医師が市販薬の使用を知らないまま処方すると、結果として薬が重なる可能性があります。

もう一つの理由は、市販薬が症状を隠してしまうことがあるためです。

たとえば、薬の影響で咳が出ているのに、市販の咳止めで抑えている場合、副作用に気づきにくくなる可能性があります。

発熱も同じです。
病気によって熱が出ていても、市販の解熱鎮痛薬で熱を下げていると、診察時に症状の経過が分かりにくくなることがあります。

頭痛や生理痛などで、不定期に解熱鎮痛薬を使っている人もいます。必要な場面で使うこと自体が悪いわけではありませんが、医師や薬剤師が知らないままだと、症状の評価が難しくなることがあります。

だからこそ、継続して使っている市販薬だけでなく、必要なときに使っている薬についても、受診時に伝えてもらうことが大切です。

市販薬やサプリを確認するときの聞き方

市販薬やサプリの確認では、聞き方がかなり大切です。

「他に飲んでいる薬はありますか」と聞くと、患者さんによっては「あります」とだけ答えることがあります。逆に、飲み薬だけを聞かれていると思って、貼り薬や塗り薬、目薬などを使っていても「ありません」と答えることもあります。

そのため、市販薬やサプリを確認するときは、範囲を具体的に示した方が情報が出やすいです。

たとえば、

「病院の薬以外に、市販薬は使っていますか」
「痛み止め、風邪薬、胃薬、便秘薬などを買って飲むことはありますか」
「サプリやビタミン剤、健康食品は使っていますか」
「飲み薬以外に、貼り薬、塗り薬、目薬、点鼻薬などは使っていますか」

このように聞くと、患者さんが思い出しやすくなります。

薬剤師が聞きたい範囲と、患者さんが「薬」と考えている範囲が違うことを前提に確認する必要があります。

まとめ

市販薬やサプリは、患者さんが自分から話してくれるとは限りません。

「他に薬はありますか」と聞いても、処方薬だけを答える人は多く、市販薬、サプリ、ビタミン剤、貼り薬、塗り薬、目薬などは出てこないことがあります。

しかし、市販薬やサプリも、処方薬と一緒に使うことで注意が必要になる場合があります。

確認する目的は、単に飲み合わせを見ることだけではありません。

処方薬との重複を防ぐため。
副作用が出やすくならないかを見るため。
症状が市販薬で隠れていないか確認するため。
市販薬で対応しきれない場合に受診へつなげるため。
医師に伝えるべき情報を整理するため。

このような意味があります。

確認するときは、「市販薬やサプリは使っていますか」「ビタミン剤や健康食品は飲んでいますか」「貼り薬や塗り薬、目薬などは使っていますか」と、具体的に聞くことが大切です。

患者さんにとっては、市販薬やサプリは何気なく使っているものかもしれません。
しかし、薬剤師にとっては、安全に薬を使ってもらうために大切な情報です。

市販薬やサプリも含めて確認することは、薬剤師の大事な仕事の一つだと感じています。