薬剤師の年収は高ければよい?拘束時間と時給で考えた転職先選び

転職・職場選び

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薬剤師が転職を考えるとき、年収はかなり気になる条件だと思います。

私自身も、過去に何度か転職をしています。

その中では、調剤経験を積みたい、管理薬剤師の経験を積みたいという気持ちもありました。

ただ、それと同じくらい「稼ぎたい」という気持ちもありました。

生活のためという現実的な理由もありますし、貯金をしたい、将来に備えたいという気持ちもあります。

それに加えて、正直に言えば、同じ薬剤師として、自分の中で納得できるくらいは稼ぎたいという意地や見栄のようなものもありました。

そのため、いくら楽そうに見える職場でも、自分の中で納得できない年収の求人は候補にしていませんでした。

年収を重視すること自体は、悪いことではありません。

ただ、転職を何度か経験する中で、年収の額面だけでは見えない部分もあると感じるようになりました。

額面の年収は変わらなくても、残業時間、通勤時間、昼の休憩時間、年間休日などを含めると、「以前より割に合わない」と感じることがあったからです。

この記事では、薬剤師の転職で年収を見るときに、額面だけでなく、拘束時間や実質的な時給も考えた方がよい理由について書いていきます。

薬剤師の転職で年収を見るのは悪いことではない

薬剤師の転職で、年収を重視するのは自然なことです。

年収は生活に直結します。

家賃、住宅ローン、食費、車、家族の生活費、貯金、趣味、将来の備えなど、収入が変われば生活の余裕も変わります。

「お金で職場を選ぶのはよくない」という考え方もあるかもしれません。

しかし、年収をまったく見ずに転職先を選ぶ方が、現実的ではないと思います。

私自身も、求人票を見るときに最初に確認するのは年収です。

そのくらい、年収は大事な条件です。

ただし、年収だけで決めてしまうと、実際に働き始めてから「思っていたよりきつい」と感じることがあります。

年収が高くても、通勤時間が長い。

年収が高くても、残業が多い。

年収が高くても、年間休日が少ない。

年収が高くても、一人薬剤師や管理薬剤師としての責任が重い。

このような条件が重なると、額面上は高年収でも、実際の満足度は下がることがあります。

大事なのは、年収を見ることではなく、年収だけで判断しないことだと思います。

年収が高くても、拘束時間が長いと得とは限らない

年収を考えるとき、勤務時間だけを見ていると実態を見落とすことがあります。

薬剤師の仕事で考えるべき時間は、単純な勤務時間だけではありません。

通勤時間、休憩時間、残業時間、閉局後の薬歴や片付け、休日当番、年間休日なども含めて考える必要があります。

求人票上の勤務時間は同じように見えても、実際には閉局後に薬歴を書いたり、片付けをしたりして、毎日少しずつ残業が発生することがあります。

また、午前診と午後診の間が長い薬局では、昼休憩が2時間、3時間近くある場合もあります。

その時間を自由に使えるならよいのですが、家が遠くて帰れない、午後の勤務があるから遠くにも行きにくい、職場で過ごすしかないという状態だと、休憩時間であっても拘束感があります。

年収が高い求人を見ると、どうしても金額に目が行きます。

しかし、実際にはその年収を得るために、どれだけの時間を仕事に使うのかを見ないと、割に合うかどうかは判断しにくいです。

求人票だけでは見えにくい職場の実態については、こちらの記事でも書いています。
関連記事:薬剤師の転職で求人票だけではわからないこと

実質時給で考えると、求人の見え方が変わる

私が実質時給のような考え方をするようになったのは、ふとしたときに「仕事にかけている時間は多いのに、思ったより給料が多くないな」と感じたことがきっかけでした。

ここでいう実質時給は、正確な税金や社会保険料まで計算したものではありません。

あくまで、転職先を比較するための目安です。

年収を、実際に仕事に使う時間で割って考えるということです。

たとえば、年収550万円の職場と、年収500万円の職場があったとします。

額面だけを見ると、年収550万円の方がよく見えます。

しかし、年収550万円の職場が、通勤時間が長く、残業も多く、昼休憩も長くて拘束時間が長い職場だったらどうでしょうか。

一方で、年収500万円の職場が、通勤時間が短く、残業も少なく、早く帰れる職場だったらどうでしょうか。

年収だけを見れば50万円の差があります。

しかし、1年間で仕事に使う時間まで含めると、その差は思ったより小さくなることがあります。

場合によっては、年収が少し低い職場の方が、生活全体の満足度は高いかもしれません。

私自身も、求人を実質時給に近い感覚で考えたときに、大きな差がなければ、勤務地や診療科目、拘束時間の短さを重視して選ぶようになりました。

少し年収が高いだけでは、仕事への不満がたまりやすいと感じたからです。

年収を理由に選ぶなら、自分が納得できるだけの高さが必要だと思います。

通勤時間は想像以上に生活に影響する

通勤時間は、求人票の年収には出てきません。

しかし、実際の生活にはかなり影響します。

片道30分違えば、往復で1日1時間違います。

週5日勤務なら、1週間で5時間です。

これが月単位、年単位になると、かなり大きな差になります。

私自身、片道1時間半ほどかかる職場を経験したことがあります。

通勤時間が長いと、単純に朝早く起きる必要があります。

朝早く起きるためには、前日の就寝時間を早くするか、睡眠時間を削るしかありません。

家庭の都合などで思うように早く寝られない人もいると思いますが、その場合でも、通勤時間が短ければ出勤までの時間にゆとりができます。

朝から慌ただしく動かなくてよいだけでも、負担はかなり変わります。

また、通勤時間が長いと、交通状況の影響も受けやすくなります。

車であれば渋滞があります。

電車であれば遅延があります。

大雨や雪の日には、普段より早く出る必要があるかもしれません。

通勤時間が短ければ、そういったイレギュラーの影響を受ける時間も少なくなります。

通勤中に本を読んだり、勉強したり、音声を聞いたりする人もいると思います。

それはそれで有効な使い方です。

ただ、通勤中にできることは限られています。

通勤時間が短くなれば、その分、自分で自由に使える時間が増えます。

私にとっては、職場が近いことはかなり大きなメリットでした。

通勤時間が短いほど疲労感は少なく、生活の満足度も大きく違いました。

長い昼休憩は、人によってメリットにもデメリットにもなる

薬局では、昼の休憩時間が長い職場があります。

特に、午前と午後の診療時間が分かれている医療機関の近くでは、昼に長く時間が空くことがあります。

この長い昼休憩は、人によってメリットにもデメリットにもなります。

家が近ければ、一度帰宅して食事をとることができます。

買い物に行くこともできます。

晩ご飯の準備をすることもできます。

仮眠をとることもできます。

このように自由に使えるなら、長い昼休憩は悪くありません。

むしろ、日中に用事を済ませられるので便利な場合もあります。

一方で、家が遠くて一時帰宅できない場合は、印象が変わります。

時間はあるけれど、午後からまた仕事があるため、あまり遠くには行けない。

完全に自由な時間というより、仕事の合間に待っている時間のように感じる。

このような状態だと、昼休憩が長いことが負担になることもあります。

その場合は、昼休憩が短く、その分早く帰れる職場の方が合うかもしれません。

昼休憩は、長ければよいというものではありません。

その時間を自分がどう使えるかまで考えた方がよいです。

残業が少ない職場は、年収以上に価値があることもある

残業が少ない職場は、単純に早く帰れます。

シフト勤務の場合は別ですが、薬局では18時から19時くらいに終了する職場も多いと思います。

これが毎日2時間残業になると、退勤時間は20時から21時以降になります。

そこに通勤時間が加わると、帰宅時間はさらに遅くなります。

通勤時間が長い職場で残業があると、帰ってからの自由時間はかなり少なくなります。

夕食、入浴、家事をしているだけで、すぐに寝る時間になります。

翌日も早く起きる必要があれば、自由時間を削るか、睡眠時間を削ることになります。

年収が少し高くても、毎日この状態が続くと、負担は大きいです。

逆に、年収差が大きくないのであれば、残業が少なく、通勤時間も短く、早く帰れる職場の方が、生活全体の満足度は高くなる場合があります。

私自身も、通勤時間や残業の少なさは、額面の年収だけでは測れない価値があると感じています。

高年収求人には、高いなりの理由があることも多い

高年収求人を見ると、やはり魅力的に感じます。

年収が上がれば、生活が楽になるかもしれません。

貯金もしやすくなります。

好きなものを買いやすくなります。

将来の選択肢も増えるかもしれません。

ただ、高年収求人には、高いなりの理由があることも多いです。

たとえば、僻地勤務、一人薬剤師、管理薬剤師、年間休日の少なさ、薬剤師以外の業務などです。

私自身、過去に年収が1.5倍になる求人を見たことがあります。

金額だけを見れば、かなり魅力的でした。

しかし、その求人は一人薬剤師かつ管理薬剤師で、年間休日も少なめでした。

年収だけを見れば良い条件に見えましたが、責任の重さや休みの少なさまで考えると、私には割に合わないと感じました。

もちろん、高年収求人が悪いと言いたいわけではありません。

若くて独身で、家庭の都合が少なく、経験を積みながら稼ぎたい人には、高年収の職場が合う場合もあると思います。

一人薬剤師や管理薬剤師の経験を積みたい人もいるでしょう。

薬剤師以外の様々な業務も経験したい人にとっては、それがメリットになるかもしれません。

ただし、金額だけで飛びつくと、長続きしないこともあります。

高い年収には、その分の理由があるかもしれない。

この前提で見た方がよいと思います。

年収が高いから狙い目、低いから楽とは限らない

実質時給を考えるようになってから、私は求人の見方が少し変わりました。

以前は、年収が高い求人を見ると、単純に魅力的に感じていました。

しかし、今は「なぜその年収なのか」を考えるようになりました。

年収が高いから狙い目とは限りません。

その分、通勤が大変かもしれません。

休日が少ないかもしれません。

一人薬剤師かもしれません。

管理薬剤師としての責任が重いかもしれません。

逆に、年収が低いからのんびり働けるとも限りません。

年収が低くても、忙しい職場はあります。

人手が少ない職場もあります。

残業が多い職場もあります。

だからこそ、求人を見るときは年収だけでなく、休日数や立地、勤務時間、残業、休憩時間まで見た方がよいと思います。

私の場合、求人票を見るときに最初に確認するのは年収です。

ただ、その次に休日と立地を見るようになりました。

年間休日が多い職場や、週の労働時間が40時間より少ない職場は、単純に仕事以外の時間が増えます。

これは大きなメリットです。

一方で、私の場合は積雪が多い地域や離島などは候補から外していました。

友人と遊ぶことや、実家に帰ることがしづらくなると感じたからです。

趣味をするにしても、場所によっては選択肢が限られることがあります。

ただし、これはあくまで私の考えです。

人によっては、そういった場所の方がのんびり働けてよいと感じるかもしれません。

仕事に没頭したい人なら、休日が少なくても問題ない場合もあるでしょう。

大事なのは、条件そのものを良い悪いで決めつけることではありません。

自分に合うかどうかです。

年収だけでなく、自分の時間がどれだけ残るか。

そこまで見て比較した方が、転職後の後悔は減ると思います。

年収だけでなく、何を優先するかを決めておく

転職先を選ぶときに、すべての条件を満たす職場は少ないです。

年収が高い。

通勤が短い。

残業が少ない。

休日が多い。

人間関係がよい。

経験も積める。

責任は重すぎない。

このすべてを満たす職場があれば理想ですが、現実にはどこかで優先順位をつける必要があります。

そのときに大事なのは、年収を上げてどうしたいのかを考えることです。

生活を楽にしたいのか。

貯金を増やしたいのか。

家族のために収入を増やしたいのか。

若いうちに集中して稼ぎたいのか。

同じように、自分の時間を確保して何をしたいのかも考えた方がよいです。

趣味に時間を使いたいのか。

家族との時間を増やしたいのか。

睡眠時間を確保したいのか。

体力的に無理なく働きたいのか。

勉強や副業に時間を使いたいのか。

ここがはっきりしていると、求人を選びやすくなります。

とにかく稼ぎたいなら、額面年収が高い職場や、インセンティブがある職場を選ぶ考え方もあります。

一方で、プライベートの時間を大きく削ってまで稼ぐつもりがないなら、拘束時間の短さや休日数も大事になります。

どちらが正解という話ではありません。

自分が何を優先したいかです。

転職前に確認しておきたいこと

転職先を選ぶときは、年収だけでなく、時間に関係する条件も確認した方がよいです。

確認しておきたいのは、勤務時間、休憩時間、残業の平均、閉局後の薬歴や片付けの有無、通勤時間、年間休日、休日当番の有無、土日祝勤務の有無などです。

固定残業代がある場合は、それが何時間分なのかも確認しておいた方がよいです。

また、年ごとの昇給があるか、異動範囲はどこまでか、管理薬剤師や一人薬剤師になる可能性があるか、実際に配属される店舗はどこかも、年収と実際の働きやすさに関わります。

私自身、過去の転職では、昼の休憩時間の長さや休日当番の有無などを十分に確認していなかったことがあります。後から振り返ると、こうした条件も働きやすさに大きく影響するため、求人票に書かれている内容だけでなく、実際にはどのように働くことになるかも確認しておけばよかったと感じています。

当時は、そこまで考えていませんでした。

だからこそ、これから転職する人には「こういう見方もある」と知っておいてほしいです。

求人票には年収や勤務時間は書かれています。

しかし、実際の残業、休憩の取りやすさ、配属店舗ごとの忙しさまでは見えにくいことがあります。

こうした情報は、面接で直接聞きにくいこともあります。

自分だけで確認しにくい場合は、薬剤師向けの転職サービスを使って、事前に確認してもらうのも一つの方法です。

年収を上げるためだけでなく、実際の働き方を確認するための手段として使うとよいと思います。


求人票だけではわかりにくい残業時間、休憩の取りやすさ、配属店舗の雰囲気などを確認したい場合は、薬剤師向け転職サービスを使って情報を集める方法もあります。
年収だけでなく、実際の働き方まで確認したうえで比較したい人は、選択肢の一つとして考えてみてもよいと思います。

転職サイトを使うか迷っている人向けに、登録後の流れや注意点はこちらで書いています。
関連記事:薬剤師転職サイトは使うべき?登録後の流れと注意点を薬剤師目線で解説

まとめ:年収を見るなら、時間も一緒に見る

薬剤師の転職で、年収を見ることは大切です。

私自身も、転職先を探すときには年収をかなり重視していました。

年収を上げたいという気持ちは、悪いことではありません。

生活をよくしたい。

貯金をしたい。

好きなものを買いたい。

同じ薬剤師として、ある程度は稼ぎたい。

そう考えるのは自然だと思います。

ただし、年収だけで転職先を決めると、実際に働き始めてから違和感が出ることがあります。

通勤時間が長い。

残業が多い。

昼休憩が長くて拘束時間が長い。

年間休日が少ない。

一人薬剤師や管理薬剤師としての責任が重い。

こうした条件を含めると、額面の年収が高くても、実際には割に合わないと感じる場合があります。

逆に、年収差が大きくないのであれば、通勤が短い、残業が少ない、休日が多い、自由時間が増える職場の方が、生活全体の満足度は高くなることもあります。

大事なのは、年収を上げて何をしたいのか。

そして、自分の時間を確保して何をしたいのか。

そこを考えることだと思います。

過去の自分に何か言うなら、細かい確認項目を伝える前に、まず「なぜ転職したいのかをしっかり考えた方がいい」と言いたいです。

年収を上げたいのか。

経験を積みたいのか。

休みを増やしたいのか。

通勤を楽にしたいのか。

今の職場の何が不満なのか。

何が改善されれば、転職してよかったと思えるのか。

ここがはっきりしていると、転職先は選びやすくなります。

転職するかどうか迷っている段階で整理したいことについては、こちらの記事でも書いています。

関連記事:薬剤師が転職を考えるタイミング|辞めたいと思ったときに確認したいこと

年収は大事です。

ただ、年収を見るなら、仕事に使う時間も一緒に見た方がよいです。

額面の金額だけでなく、自分の生活に残る時間まで考える。

それが、転職後に後悔しにくい職場選びにつながると思います。