塗り薬の塗る順番はどうする?ステロイド・保湿剤・日焼け止め・虫よけの考え方

薬の使い分け

塗り薬を使っている患者さんから、よく聞かれる質問があります。

「保湿剤とステロイドは、どちらを先に塗ればいいですか?」
「日焼け止めも使う日は、薬の前ですか?後ですか?」
「虫よけも使いたいときは、どうすればいいですか?」

皮膚科の薬を使ったことがある方なら、一度は迷ったことがあるかもしれません。

結論からいうと、塗る順番について「どんな場合でも絶対にこの順番」と決まっているわけではありません。

薬の種類、皮膚の状態、塗る範囲、医師からの指示によって、適した使い方は変わります。
そのため、医師や薬剤師から具体的な指示がある場合は、まずその指示を優先してください。

そのうえで、特に指示がなく迷ったときは、次のように考えるとわかりやすいです。

保湿剤は乾燥しやすい部分へ広く塗る。
ステロイド外用薬は、赤みやかゆみなど症状のある部分に塗る。
外出時は、日焼け止めを衣服で隠れない部分に塗る。
虫よけも使う場合は、日焼け止めの後に使う。

今回は、保湿剤、ステロイド外用薬、日焼け止め、虫よけを一緒に使うときの考え方を、薬剤師の視点で整理します。

まず大前提:医師からの指示が最優先

塗る順番を考える前に、まず確認しておきたいことがあります。

処方時に医師から「この順番で塗ってください」と説明されている場合は、その指示を優先します。

皮膚の状態によっては、保湿剤を先に塗るように説明されることもあれば、治療薬を先に塗るように説明されることもあります。

また、同じステロイド外用薬でも、軟膏、クリーム、ローションなど形が違います。
保湿剤にも、ワセリンのように油分が多いもの、乳液タイプ、泡タイプ、ローションタイプなどがあります。

そのため、「ステロイドは必ず先」「保湿剤は必ず先」と一つに決めつけるのではなく、処方内容と皮膚の状態に合わせて考える必要があります。

この記事では、あくまで一般的な目安として説明します。

保湿剤とステロイドはどちらが先か

薬局でよく聞かれるのが、保湿剤とステロイド外用薬の順番です。

特に個別の指示がない場合、私は「まず保湿剤を広く塗り、その後に赤みやかゆみなど症状のある部分へステロイド外用薬を塗る」と説明することが多いです。

理由は、保湿剤とステロイド外用薬では、使う目的と範囲が違うからです。

保湿剤は、乾燥を防ぎ、皮膚の状態を整えるために使います。
そのため、乾燥しやすい部分に広く塗ることが多い薬です。

一方、ステロイド外用薬は、赤み、かゆみ、湿疹などの炎症を抑えるために使います。
基本的には、症状が出ている部分に塗ります。

先にステロイド外用薬を塗ってから保湿剤を広く塗ると、ステロイドを塗った場所から周囲へ薬が広がる可能性があります。
もちろん、それが必ず悪いという意味ではありません。

ただ、必要な部分に必要な量を塗るという点では、保湿剤を先に広く塗り、その後で症状のある部分にステロイド外用薬を塗る方が説明しやすい場面があります。

一方で、皮膚科では「治療薬をしっかり効かせたい部分には、治療薬を先に塗る」と説明されることもあります。
また、保湿剤とステロイドを塗る場所がはっきり分かれている場合は、順番よりも「適切な量を、必要な場所に塗れているか」の方が重要です。

保湿剤とステロイド外用薬の順番には、絶対の正解が一つあるわけではありません。
迷った場合は、処方元の医師や薬局で確認してください。

保湿剤は「たくさん塗ればよい」わけではない

保湿剤は、乾燥を防ぐために大切な薬です。
ただし、たくさん塗れば塗るほどよい、というものではありません。

目安としては、塗った後に皮膚がしっとりして、軽く光る程度です。
すぐにカサカサする場合は量が少ない可能性があります。
反対に、ベタつきが強くて日常生活に支障がある場合は、量や薬の形が合っていないこともあります。

保湿剤は、入浴後に使うことが多いです。
入浴後は皮膚が乾燥しやすいため、なるべく早めに塗るとよいとされています。

保湿剤を続けても乾燥やかゆみが強い場合、単なる乾燥ではなく、湿疹やアトピー性皮膚炎などが関係していることもあります。
保湿だけで対応しようとせず、皮膚科で相談した方がよい場合もあります。

ステロイド外用薬は「必要な場所に、必要な期間」使う

ステロイド外用薬は、皮膚の炎症を抑えるために使う薬です。

ステロイドという言葉に不安を感じる方もいます。
しかし、医師の指示通りに適切に使うことが重要です。

怖いからといって少なすぎる量で塗ったり、すぐにやめたりすると、炎症が十分に落ち着かず、かえって長引くことがあります。

一方で、症状がない場所に長く塗り続ける薬でもありません。
顔、首、陰部、子どもの皮膚などは、薬の強さや使用期間に特に注意が必要です。

ステロイド外用薬を使うときは、「どこに」「どのくらいの量を」「いつまで」塗るのかを確認しておくと安心です。

日焼け止めはどのタイミングで塗るか

保湿剤や塗り薬を使っている方でも、外出する日は日焼け止めを使うことがあります。

この場合、一般的には、保湿剤や必要な外用薬を塗った後に、日焼け止めを塗ると考えるとわかりやすいです。

日焼け止めは、紫外線から皮膚を守るために使います。
外に出る前に、顔、首、腕、手の甲など、衣服で隠れない部分へ塗ります。

また、日焼け止めは朝に一度塗れば一日中そのままでよい、というものではありません。
汗をかいたり、タオルで拭いたり、時間がたったりすると落ちていきます。
屋外で過ごす時間が長い日は、塗り直しも必要です。

湿疹がある部分にしみる場合や、塗った後に赤みが強くなる場合は、日焼け止めの種類が合っていない可能性があります。
そのときは無理に使い続けず、医師や薬剤師に相談してください。

虫よけは日焼け止めの後に使う

夏場や屋外活動では、日焼け止めと虫よけを両方使うことがあります。

この場合は、日焼け止めを先に塗り、虫よけを後に使うのが一般的です。

日焼け止めは、紫外線から皮膚を守るために使います。
虫よけは、蚊などを避ける目的で使います。

目的が違うため、日焼け止めで紫外線対策をしたうえで、必要に応じて虫よけを使う、と考えるとよいでしょう。

ただし、虫よけも使いすぎればよいわけではありません。
製品ごとに、使える年齢、使用回数、使用できる部位が異なります。

特に子どもに使う場合は、手、目、口の周り、傷や荒れている部分を避けてください。
顔に使う場合は、直接スプレーせず、一度大人の手に出してから塗る方が安全です。

また、虫よけは必要な場面で使い、帰宅後は洗い流すことも大切です。

日焼け止めと虫よけが一緒になった商品はどうか

日焼け止めと虫よけが一緒になった商品もあります。

便利そうに見えますが、普段使いでは別々に使う方が調整しやすいと感じます。

理由は、日焼け止めと虫よけでは、塗り直しの考え方が違うからです。

日焼け止めは、汗や水、こすれで落ちるため、屋外では塗り直しが必要になることがあります。
一方で、虫よけは製品ごとに使用回数や間隔が決められており、むやみに何度も使えばよいものではありません。

日焼け止めを塗り直したいだけなのに、虫よけ成分まで何度も重ねることになると、使い方として合わない場合があります。

もちろん、短時間の外出では便利な場面もあります。
ただ、日焼け止めと虫よけをそれぞれ適切に使うという意味では、別々の商品として考える方が管理しやすいです。

実際にはどの順番で塗ればよいか

保湿剤、ステロイド外用薬、日焼け止め、虫よけを塗る順番の目安を示した図

保湿剤、ステロイド外用薬、日焼け止め、虫よけをすべて使う場合、特に個別の指示がなければ、次の順番を一つの目安にするとよいです。

まず、保湿剤を乾燥しやすい部分へ広く塗ります。
次に、湿疹や赤みなど症状のある部分へステロイド外用薬を塗ります。
外に出る前に、露出する部分へ日焼け止めを塗ります。
さらに虫よけが必要な場面では、日焼け止めの後に虫よけを使います。

目安としては、

保湿剤 → ステロイド外用薬 → 日焼け止め → 虫よけ

という順番です。

ただし、これはあくまで一般的な考え方です。

医師から「ステロイドを先に塗ってください」と言われている場合は、その指示を優先してください。
また、顔に使う薬、目の周りの薬、傷がある部分、じゅくじゅくしている部分、赤ちゃんや子どもの皮膚では、自己判断で重ね塗りしない方がよい場合もあります。

薬局で相談してほしいケース

塗る順番に迷ったときは、薬局で相談して問題ありません。

特に、処方された塗り薬が複数ある場合、保湿剤とステロイドを同じ場所に塗るのか迷う場合、顔や首、目の周りに使う場合、子どもに日焼け止めや虫よけを使う場合は、確認しておくと安心です。

また、塗るとしみる、赤くなる、かゆみが強くなる、どの薬をいつまで続けるのか分からない、といった場合も相談してください。

塗り薬は、飲み薬と違って「どこに塗るか」「どのくらい塗るか」「どの順番で使うか」が、使いやすさや治療に関わります。

説明を聞いたときは分かったつもりでも、家に帰って実際に使うと迷うことは珍しくありません。
その場合は、遠慮せず薬局で確認してください。

まとめ

塗り薬の順番は、すべての場合で絶対に決まっているわけではありません。

まず優先するのは、医師や薬剤師からの個別の指示です。

特に指示がない場合は、保湿剤を広く塗り、ステロイド外用薬は症状のある部分に塗る、と考えると整理しやすいです。
外出時は日焼け止めを使い、虫よけも必要な場合は、日焼け止めの後に使います。

迷ったときの目安は、

保湿剤 → ステロイド外用薬 → 日焼け止め → 虫よけ

です。

ただし、皮膚の状態や薬の種類によって、適した使い方は変わります。

塗る順番に迷ったときは、自己判断で続けるより、薬局や皮膚科で確認するのが安全です。

参考資料

この記事は、以下の公的機関・学会等の情報を参考に作成しました。

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