薬剤師が転職後に大変だったこと|職場が変わると慣れるまでに時間がかかる理由

転職・職場選び

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薬剤師の転職では、年収、勤務時間、通勤距離、休日、職場の雰囲気などを見ながら転職先を選ぶことが多いと思います。

ただ、転職先が決まって働き始めれば、それですぐに前職と同じように動けるとは限りません。

同じ薬剤師の仕事でも、職場が変わると採用品目、薬の保管場所、調剤システム、処方傾向、患者層、事務処理、職場のルールが変わります。

薬の知識や患者対応の経験は生かせますが、薬の知識以外の部分は、転職先で覚え直しになることも多いです。

私自身も複数回転職を経験していますが、転職直後に特にやりにくかったのは、採用薬が変わることと、調剤システムが変わることでした。

この記事では、薬剤師が転職後に大変だと感じやすいことと、新しい職場に慣れるまでに時間がかかる理由についてまとめます。

転職後は薬の知識以外を覚え直すことが多い

薬剤師としての基本的な知識や患者対応の経験は、転職後も生かせます。

ただし、実際の業務では、それだけで前職と同じように動けるわけではありません。

薬の保管場所、採用品目、調剤システム、職場独自のルール、事務員との役割分担などは、職場ごとに変わります。

そのため、経験者であっても、転職直後は一時的に動きにくくなります。

この大変さは、新卒で働き始めたときに近い部分があります。

もちろん、新卒のときと違って、薬の知識や服薬指導の経験はあります。すべてをゼロから覚えるわけではありません。

「最初は大変だけれど、新卒のときよりは生かせる経験がある」 と考えると、少し気が楽になると思います。

採用品目や薬の保管場所が変わる

薬局ごとに採用品目は違います。

前の職場でよく使っていた薬が、転職先ではあまり出ないこともあります。逆に、前職ではあまり見なかった薬が、転職先ではよく出ることもあります。

同じ成分でも、採用しているメーカーが違えば、包装や見た目も変わります。

薬の名前は知っていても、見慣れない包装だと、慣れるまでは探すのに時間がかかります。

また、薬の保管場所も職場によって違います。

内服薬、外用薬、漢方薬、粉薬、冷所品など、ある程度の分類は似ていても、棚の並び方や置き場所のルールは薬局ごとに違います。

転職直後は、薬の知識そのものよりも、「どこにあるか」「どのメーカーを採用しているか」を覚えることに時間がかかることがあります。

転職後に必要な薬の知識や情報収集については、こちらの記事も参考にしてください。

関連記事:薬剤師の勉強は何から始める?現場で困らないための情報収集

採用メーカーが変わると、見た目や使用感も変わる

採用メーカーが変わると、包装や見た目だけでなく、薬によっては味や使用感も変わることがあります。

同じ成分の薬でも、シートの色、錠剤の形、粉薬の色やにおいなどが違うと、患者さんから見ると別の薬のように感じる場合があります。

薬剤師側も、転職直後は見慣れない包装や剤形に慣れるまで時間がかかります。

特に粉薬の場合は、味や飲みやすさが服薬に関わることがあります。

実際に、小児の粉薬で特定の味が苦手な子に対して、以前の職場で使っていたメーカーとは違うものを採用しており、味を把握できていなくて、すぐに返答できなかったことがありました。

もちろん、飲みやすいかどうかは患者さんによって違います。

ただ、メーカーごとの特徴をある程度知っていると、患者さんや保護者から相談されたときに説明しやすくなります。

転職後は、薬の名前だけでなく、その職場で採用しているメーカーの見た目や特徴にも少しずつ慣れていく必要があると感じました。

処方傾向や医師ごとの出し方に慣れる必要がある

同じ診療科でも、病院や医師によって処方の出し方は変わります。

少なめの量で様子を見る傾向の医師もいれば、比較的しっかり量を出す医師もいます。

日数、頓服、外用薬の組み合わせ、よく使う薬などにも傾向があります。

これは良い悪いという話ではありません。

その医師の処方傾向を知らないうちは、用量や日数を確認するのに時間がかかるということです。

門前薬局では、医師ごとの処方傾向に慣れてくると仕事がしやすくなります。

一方で、転職直後はその傾向がまだ見えていないため、処方箋を見るたびに確認することが増えます。

診療科が同じでも、職場が変われば処方の見え方も変わる と考えておいた方がよいです。

調剤システムが変わると入力にも確認にも時間がかかる

転職後に大変だと感じやすいものの一つが、調剤システムの違いです。

私が転職した中では、同じ調剤システムだったことはありませんでした。

そのため、転職するたびに調剤システムは変わるものだと考えた方がよいと感じています。

調剤システムが変わると、処方入力や薬歴入力だけでなく、確認のしやすさも変わります。

処方内容の見方、過去薬歴の見方、申し送りの確認場所、過去薬歴から引用する操作などは、システムによってかなり違います。

薬を新しく登録するときも、すぐ登録できるものもあれば、直接入力しなければならないものもありました。

薬歴を書くこと自体には慣れていても、システムが変わると細かい操作で手が止まります。

また、薬歴を書くタイミングも職場によって違います。

投薬する場所にパソコンが設置されていて、薬歴を書き終えてから次の業務に移る流れの職場もありました。

一方で、多くの場合は、一通り投薬や調剤が落ち着いてから薬歴を書く流れでした。

調剤システムは、処方入力、処方内容の確認、薬歴入力、過去薬歴の確認など日々の業務に関わるため、慣れるまではどうしても時間がかかります。

事務員との役割分担や会計の流れも変わる

職場によって、薬剤師と事務員の役割分担も変わります。

事務員が発注や返品まで対応してくれる職場もあれば、そうした業務をすべて薬剤師が行う職場もあります。

投薬後の会計を薬剤師が行う場合もあれば、事務員が行う場合もあります。

処方箋入力についても、事務員が入力した後に、薬剤師が最後に必ず確認する流れの職場もありました。

どこまで薬剤師が関わるかは、会社や店舗によって違います。

転職直後は、薬の知識だけでなく、「自分がどこまでやる必要があるのか」を確認することが大切です。

ここを曖昧にしたまま動くと、抜けや重複が起こりやすくなります。

患者層や忙しくなる時間帯も職場で変わる

患者層は、診療科だけでなく薬局の立地によっても変わります。

小児科の近くであれば小児が多くなりますし、慢性疾患を多く診る医療機関の近くであれば高齢者が多くなることもあります。

また、駅前の薬局では、比較的働いている世代の患者さんが来ることも多く、17時以降に増えることがあります。

もちろん、駅前でなくても夕方以降に患者さんが増えることはあります。

ただ、立地によって患者層や忙しくなる時間帯に違いが出るのは感じました。

忙しい曜日や時間帯は、診療科や季節によっても変わります。

転職後は、処方内容だけでなく、その薬局にどのような患者さんが来るのか、どの時間帯が忙しいのかにも慣れていく必要があります。

わからないことは、調べることと聞くことを分ける

転職直後は、わからないことが多くなります。

経験者として入ると、「こんなことを聞いてよいのか」と思うこともあります。

ただ、聞かなければわからないままです。

私の場合、薬の知識に関することは、まず自分で調べるようにしていました。

添付文書やメーカー資料などで確認できる内容は、できるだけ自分で調べてから判断する方がよいと思います。

一方で、店舗ごとのルールや調剤システムの操作は、自分で考えてもわからないことが多いです。

薬歴をどのタイミングで書くのか、疑義照会は誰に相談するのか、発注や返品は誰が行うのか、処方箋入力を薬剤師がどこまで確認するのか。

こうしたことは、職場によって違います。

そのため、店舗ルールやシステムに関することは、早めに聞いた方がよい と感じました。

入職したばかりの頃は、基本的には管理薬剤師に確認していました。

自分が管理薬剤師として入る場合は、その店舗で一番長く働いている人に確認することが多かったです。

薬剤師の仕事では、わからないまま自己判断で進めるより、確認してから動く方が安全です。

転職後、慣れるまでにどのくらいかかったか

転職後にどのくらいで慣れるかは、職場や本人の経験によって変わります。

私の体感では、日々の動き自体は半月ほどで慣れてくることが多かったです。

薬の場所、業務の流れ、調剤システムの基本操作などは、毎日働いていれば少しずつ覚えていきます。

ただ、転職を重ねるたびに、この期間は少しずつ短くなっていった感覚があります。

職場が変わればやり方も変わる、という前提で動けるようになるからです。

よく使う薬は、1か月ほどあればある程度見えてきます。

一方で、患者層や処方傾向、医師の処方意図が見えてくるまでは、3か月ほどかかる感覚がありました。

処方日数は長くても90日分までであることが多く、そのくらい経つと、定期的に来る患者さんや、よく出る処方が一巡して見えてくるためです。

もちろん、すべての職場で同じとは限りません。

診療科、処方箋枚数、季節性、人員体制によっても変わります。

ただ、転職直後にすぐ完璧に動けないのは自然なことだと思います。

転職直後に動きにくいのは能力不足とは限らない

転職直後は、前職で普通にできていたことが一時的にやりにくくなることがあります。

薬を探すのに時間がかかる。

薬歴入力が遅くなる。

処方傾向が読みにくい。

店舗ルールがわからない。

誰がどの業務を担当しているのか把握できていない。

こうした状態になると、「経験者なのに動けていない」と感じることもあります。

しかし、多くの場合は能力不足ではなく、新しい環境に慣れている途中です。

薬の知識や患者対応の経験がまったく生かせないわけではありません。

ただ、採用品目、調剤システム、職場ルール、処方傾向が変われば、一時的に動きにくくなるのは当然です。

焦って自己判断するより、確認しながら少しずつ慣れていく方が安全です。

転職は大変だが、経験の幅が広がる面もある

転職は慣れるまで大変ですが、異なる診療科や業態を経験することで、対応の幅が広がる面もあります。

私の場合、ドラッグストアを経験したことで、市販薬や健康食品の相談で困ることは少なくなりました。

また、処方箋枚数が多い職場も、逆に少なくて人員も少ない職場も経験したことで、薬局ごとの違いも見えやすくなりました。

年収が上がったことも良かった点ではあります。

ただし、これは地域をあまり限定せず、管理薬剤師も可能という条件で転職していた部分が大きいです。

年収をどこまで重視するかは、人によって考え方が変わると思います。

最初は動きにくくても、慣れてくれば前職までの経験も少しずつ生かせるようになります。

転職前に確認しておくとよいこと

転職後の大変さを完全になくすことは難しいです。

ただ、転職前に確認しておくことで、入職後のギャップを減らせる部分はあります。

確認しておきたいのは、配属予定店舗、主な応需科目、処方箋枚数、薬剤師と事務員の人数、調剤システムや電子薬歴、教育体制、引き継ぎの有無、相談できる環境などです。

また、転職直後から一人薬剤師になる可能性があるのか、応援勤務があるのか、事務処理や公費確認を薬剤師がどこまで行うのかも確認しておくとよいです。

求人票には年収や勤務時間は書かれていても、実際の配属店舗の雰囲気や教育体制までは十分に見えないことがあります。

転職前に確認しておきたい内容については、こちらの記事でも詳しく書いています。

関連記事:薬剤師の転職で求人票だけではわからないこと

転職後に新しい職場へ慣れるには、採用品目、処方傾向、調剤システム、教育体制、相談しやすい環境などが大きく関わります。

転職後のギャップを減らすには、求人票に書かれている年収や勤務時間だけでなく、実際の配属予定店舗、調剤システム、教育体制、相談できる環境なども確認しておくことが大切です。

自分だけでは聞きにくい内容もあるため、気になる場合は薬剤師向け転職サービスを使って、事前に確認してもらうのも一つの方法です。

薬剤師向け転職サービスを使う流れについては、こちらの記事でまとめています。

関連記事:薬剤師転職サイトは使うべき?登録後の流れと注意点を薬剤師目線で解説

まとめ

薬剤師は、転職すればすぐに前職と同じように働けるとは限りません。

採用品目、薬の保管場所、調剤システム、処方傾向、患者層、職場ルールなどが変わるため、転職直後は一時的に動きにくくなることがあります。

これは能力不足というより、新しい職場に慣れている途中と考えた方がよいと思います。

薬の知識は自分で調べながら、店舗ルールやシステムについては早めに確認する。

最初から完璧に動こうとしすぎず、少しずつ新しい職場のやり方に慣れていくことが大切です。

転職前には、年収や勤務時間だけでなく、配属店舗、調剤システム、教育体制、相談できる環境なども確認しておくと、入職後のギャップを減らしやすくなります。